投資回復を呼ぶ原油高 欧州総局 黄田 和宏 2017/1/ 24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「投資回復を呼ぶ原油高 欧州総局 黄田 和宏」です。





 デフレからリフレへと世界経済の潮流が変化するなか、2017年を占う上で投資家が注目し始めているのが「資本的支出」の行方だ。世界の設備投資は2年以上にわたり低迷してきたが、原油相場の持ち直しを背景にエネルギー関連などが呼び水となり、新規投資に資金が向かう兆しが出ている。世界的に政治リスクが高まるなかでも、企業経営者は経済の回復に信頼感を強めている。

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 「世界の資本的支出は14年10~12月期以降で初めて拡大に向かう」。オランダ運用大手NNインベストメント・パートナーズの戦略担当、パトリック・ムーネン氏は、今年が世界経済の大きな転換点になると予想する。これまで企業は新規雇用や設備拡張に慎重で、M&A(合併・買収)や自社株買いを優先してきた。世界金融危機以降では最も長い投資の落ち込みを経験してきたが、ようやく光明が差しつつある。

 最大の要因は原油相場の回復だ。世界の資本的支出の約2割を占めるとされるエネルギー関連の投資はこの2年間で4割減った。米調査会社バーンスタインによると、17年は同産業の開発投資が前年比9%増に転じる見通し。原油高が続くことを前提に、20年にはピークだった14年の9割強の水準に回復するとみる。

 英大手運用会社スタンダード・ライフ・インベストメンツのグローバル戦略責任者、アンドリュー・ミリガン氏は「エネルギー産業の投資回復は他のセクターにも波及効果が大きい」と話す。足元では鉱工業生産が世界的に回復に向かい、過剰在庫に一巡感が出始めている。今後の需要増に向けた投資の好循環が起こる可能性が出ている。

 見逃せないのが資金調達にも勢いが出てきたことだ。欧州の社債市場では年初から早いペースで発行が相次ぎ、仏ソシエテ・ジェネラルによれば、ユーロ建て市場では1月の発行額が600億ユーロ(7兆3500億円)を超える見通し。投資適格社債は09年に次ぐ過去2番目の高水準に達するとみられている。

 多国籍企業が抱える巨額の現金の行方も注目だ。米トランプ政権の政策によるが、米国が法人税を大きく引き下げる可能性があり、企業のキャッシュフローが改善することで余剰資金が新規投資に向かう可能性があるためだ。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによると、16年12月末時点で米国企業は1兆7700億ドル、欧州企業は9210億ユーロ(同6月末時点)と、過去最高水準の余剰資金を持つ。

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 NNのムーネン氏は「今後1年間の企業収益の増加率は世界全体で1割近くに達する見通しで、新規投資に必要な経営者の信頼感が高まっている」と説明する。世界経済は政治面で保護主義的な逆風を受ける一方、循環的な拡大局面に入る手前にあり、両者がせめぎ合っている。企業には、政治リスクに立ち向かい、必要な投資に踏み切れるかどうかが問われている。



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