掃除機の雄ダイソンEV走らす 家電・車、垣根低く 2017/9/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「掃除機の雄ダイソンEV走らす 家電・車、垣根低く」です。





 家電大手の英ダイソンは26日、2020年までに電気自動車(EV)に参入すると発表した。主力のコードレス掃除機などで培ったノウハウをEV開発にいかす。世界的なEVシフトが進むなか、異業種も触手を伸ばしてきた。エンジン車に比べ格段に参入障壁が低いEVの隆盛は、自動車業界の勢力図を一変する可能性も秘めている。

 「いつか車を実現する日のために技術開発を絶えず進めてきた」。創業者のジェームズ・ダイソン氏は同日、ロンドンの事務所でEVへの参入を宣言した。

 400人規模の体制で、バッテリーから車体の設計・開発まで基本的に自前で手掛ける。英高級車メーカー、アストンマーティンから技術者をスカウトしている話は以前からあったが、計画公表を機に技術者の陣容を拡大する。開発には20億ポンド(約3千億円)を投じる方針だ。

 関係者を驚かせたのはEVの肝となる電池を自前で開発することだ。しかも、採用するのは現在主流のリチウムイオンより倍以上の容量があり、充電時間を大幅に短縮できる「全固体電池」という。トヨタ自動車なども同電池の開発を急ぐがダイソンがEVを発売する20年には間に合わない。「液体を使わないので安全で過熱しにくく充電も速い」(ダイソン氏)

 すでに2年前に米ミシガン州の新興企業、サクティー3を9千万ドル(約100億円)で買収、EVに搭載できるよう改良してきたという。さらにモーターも掃除機で培った技術を進化させ、EVに搭載する。

 具体的な販売台数や仕様などについては口をつぐむが、「スポーツカーでも格安車でもないものになる。他社の既存EVとは根本的に違ったものになる」(ダイソン氏)

 環境規制の強まりを受け、世界的にEVシフトが進むが、ガソリン車に比べて部品点数が4割少なく、高度な擦り合わせ技術が不要になるEVの参入障壁は低い。新興勢の筆頭格である米テスラは7月28日に初の量販型EV「モデル3」の出荷を始めた。価格を3万5000ドルからに抑え、既に約50万台を受注した。18年までに年50万台の量産体制を整える計画だ。中国勢もバッテリー会社から参入した比亜迪(BYD)などは比較的安いEVを武器に大都市を軸に販売を伸ばす。

 迎え撃つ格好となる日本勢は「急速にEVに取って代わることはない」というのが共通認識だが、カギとなる電池まで次世代のものを最初に搭載しようとするスピード感は脅威だ。

 傘下にエンジンや変速機を手掛ける系列部品メーカーを多く抱えるトヨタ自動車の悩みは深い。EVではこうした部品が不要となる。急速なEVシフトは系列部品メーカーにとって死活問題になりかねないことから、及び腰にならざるを得ない。

 世界初の量産EVを7年前に発売した日産自動車は2代目「リーフ」を来月発売する。航続距離を4割伸ばすなど「EVの先駆者」(西川広人社長)としての意地を見せるが、勢いづくテスラや革新的なイメージが浸透するダイソンに対抗できるか、真価が問われる。

 異業種からの参入に慣れていない自動車各社は家電やIT(情報技術)メーカーの経営のスピードについていけるのか。目測を誤れば、既存の自動車メーカーにとって、大きな致命傷になりかねない。

 (篠崎健太、藤野逸郎)



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