政策減税で税収減4兆円 15年度の法人税・所得税 2017/2/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「政策減税で税収減4兆円 15年度の法人税・所得税」です。





 特定の個人や企業に対し、期限を区切って減税する政策減税が、法人税と所得税の4兆円分の減収要因となっていることがわかった。2015年度は比較可能な11年度以降、過去最高で消費税収の4分の1の規模。効果の検証がないまま残っている措置もあり、税制の不公平感を生んでいる。

 政策減税は恩恵が偏るため、期限が来たら廃止するのが筋だが、廃止は進んでいない。

 財務省が今国会に提出した資料で判明した15年度の法人税の政策減税による減収額は1兆9766億円。前年度より821億円減ったが、過去最高水準を維持した。減収規模が最大だったのは研究開発減税で6158億円。適用されている業種は偏りが大きい。15年度は自動車などの産業で3割、化学工業が2割近くを占める。

 リーマン・ショック後に中小企業を保護するために作った特例の減税措置も減収額が大きかった。1274億円の減収で前年度より約100億円増えた。もともと資本金1億円以下の中小企業には大企業より低い税率が課されているが、さらに低い税率を適用する措置だ。中小の反発を恐れ延長が繰り返されている。

 会計検査院によると、個人が支払う所得税の政策減税の減収額は2兆250億円。14年度より4900億円増える見込みだ。代表的なのが肉用牛の売却で得た所得には所得税がかからない特例措置だ。畜産農家の保護が名目だが、8000万円を超えるような高所得の農家にも適用されている。1967年に創設したが、約50年にわたり制度が続く。業界団体と与党の政治家との関係の近さを指摘する声もある。

 高齢者優遇の措置も続く。年金収入が330万円未満の人に最大50万円の控除額を上乗せする特例が05年から始まった。税負担が苦しい低所得の年金受給者を救済する措置のはずだが実際は不動産など年金以外の所得があり、総所得が1800万円を超えるような人にも適用している。減収額は1800億円に及ぶ。

 会計検査院は296の所得税の政策減税のうち「80件は所管省庁が必要性や効果を検証しないまま実施している」と指摘する。年金受給者への特例措置では、厚生労働省はどのような人に制度が使われているか実態を検証していないという。

 「政策減税は実態が国民の目にさらされていない」という批判が根強い。法人税は租特透明化法で11年度から適用状況を公表しているが、個別企業への減税の規模は明らかにされない。所得税はそもそも透明化法の適用外だ。政策減税は「隠れた補助金」(中央大学の森信茂樹教授)ともいえ、放置し続けると税のゆがみが広がりかねない。

(飛田臨太郎)



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