新年度の投資環境を読む(上)「増税延期」市場織り込む 日本生命保険取締役 大関洋氏 2016/04/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「」です。





 円高や新興国経済の減速など、企業収益を取り巻く環境が厳しさを増している。5日に日経平均株価が1万6000円を割り、波乱の幕開けとなった新年度相場。株式を中心とした投資環境をどうみているのか、市場関係者に聞く。

 ――新年度の日本株相場をどうみていますか。

 「円安が企業収益を押し上げるアベノミクス相場の流れは昨年夏に終わった。新年度は為替影響を除いた企業の実力が問われる」

 「足元の株価水準は売られすぎだ。3月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)の弱い内容が嫌気されたが、経営者が慎重なだけ。企業の競争力は高まっており、16年度も大企業全産業で経常増益が続くとみている。日経平均株価は年度末までに1万8000~2万円手前に回復するだろう。下がった局面では押し目買い姿勢で臨む」

 ――今年度の投資テーマは何ですか。

 「まず企業統治改革だ。東証が昨年6月に出した企業統治指針を背景に、企業はより市場の声を聞くようになった。企業価値を高めるため、経営者との対話の質を上げたい。ベンチャー企業への投資を増やす計画も進めている。ヘルスケアや育児支援、自動運転など、世の中の課題解決につながる企業が対象だ」

 ――マイナス金利で投資行動に変化は。

 「超長期債の利回り低下で国内債への投資は抑えざるをえない。為替ヘッジをした外国債券が中核的な資産になる。ドル調達コストが高止まりしており、米国債より欧州の国債の方が魅力的だ」

 「社債は資源関連の債務不履行の増加に引っ張られ、世界的にスプレッド(上乗せ金利)が拡大している。選別すればリスクに比べ十分なリターンを得やすい局面だ」

 ――17年4月に予定される消費増税の延期論がくすぶっています。

 「市場は7~8割がた増税延期を織り込んだ。延期しても直ちに財政悪化懸念から金利が上がることはないが、国債格下げには目配りすべきだ。国債の担保価値が下がれば、企業の資金調達コストが上昇しかねない」

株主還元の姿勢で選別 米Tロウ・プライス ポートフォリオ・マネジャー アーシバルド・シガネール氏

 ――今年に入り、東京株式市場では海外投資家の売りが止まりません。

 「先進国で日本株が優位とされる時期は終わった。世界的な低成長と円高が逆風となり、2016年度の企業収益の伸びは横ばい程度にとどまるとみる。目先は参議院選挙をにらんだ政策期待が下値を支えるが、年内を通しては相場の大きな上昇は見込みにくい」

 「日銀によるマイナス金利政策の導入は間違いだったと思う。金融機関の収益力低下で仲介機能が損なわれ、経済に悪影響を及ぼす。消費者もマイナス金利というなじみのない事態に不安を感じ、消費より貯金にお金を回そうとする」

 ――海外投資家の中でアベノミクスへの失望が広がっていませんか。

 「アベノミクスの良い面は評価されている。その一つが日本企業の企業統治改革の進展だ。業績が伸び悩んでも企業は配当など株主還元を拡大している。欧米に比べて資本効率の改善余地は大きく、長期投資家にとって魅力的なテーマだ」

 「ただ、消費税率10%への引き上げはすべきでない。財政再建のためにいずれ上げざるを得ないとしても、今は国内総生産の伸びを優先すべきだ。構造改革も重要。労働力不足の解消は喫緊の課題で、子育て支援など女性の働きやすい環境整備を急ぐ必要がある」

 ――どんな銘柄や業種に注目していますか。

 「私が運用するファンドではNTTのように安定した現金収入が見込め、株主還元に積極的な企業を買っている。自動車株の組み入れ比率は市場平均より小さい。米新車販売がピークを迎えたと判断しているからだ」

 「投資家があまり注目していなかった中小型株も面白い。ボイラーの三浦工業や業務用冷蔵庫のホシザキ電機は国内の安定した事業基盤に加え、海外に伸びしろがある」



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です