新法1カ月、低調民泊アイデア勝負 2018/07/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「新法1カ月、低調民泊アイデア勝負」です。





楽天の民泊事業子会社の楽天ライフルステイ(東京・千代田)は18日、寺院に泊まる「宿坊」の予約サービスを始めると発表した。住宅宿泊事業法(民泊新法)施行から1カ月たつが、物件の届け出は低調。一般の個人宅だけでない個性的な施設の取り扱いを増やす狙い。盆栽を楽しむなど体験サービスも広がり、訪日外国人の囲い込みに各社がアイデアで勝負する。

(画像:宿坊施設「和空三井寺」の予約受け付けを来月1日から始める)

日本を訪れる外国人は2017年に3千万人近くに及んでいる。この6年間で5倍近くまで急増しており、その分、宿泊する需要も拡大を続けている。政府はさらに30年にかけて、訪日客を現在の2倍の6千万人まで増やす計画だ。

(画像:「和空三井寺」の客室(大津市))

そのためには新規の顧客にとどまらず、リピーターをとらえるサービスが欠かせない。東京都や京都府を回っていた20代の中国人女性が言う。「日本は5回目。有名な観光地だけじゃなく、いろんな地方で今までと違った経験をしたい」

ただ、こうした訪日客を泊める受け皿は十分といえる状況ではない。6月15日に民泊新法が施行されたが、全国の届け出件数は7月6日時点で5397件にとどまっており、エアビーに春まで載っていた6万2千件の1割弱にすぎない。

手続きの煩雑さ、宿泊日数の上限をさらに厳しくするといった自治体の追加規制がネックになっている。

楽天ライフルステイの太田宗克社長はその点で新しい取り組みを打ち出した。18日、東京都内での記者会見で宿坊サービスの和空(大阪市)との提携を発表した。

「和空との提携でより多くの物件を開発していく」。18日から、楽天ライフルステイや同社と提携するオランダのブッキング・ドットコムなどのサイトを通じ、宿坊施設を予約できるようにする。施設は、和空が運営するサイト「テラハク」で扱っているものだ。

楽天グループが、タブレット(多機能携帯端末)を使ったチェックインシステムや、事前に発行される暗証番号で解錠する電子錠を提供する。

まず8月1日、大津市にある三井寺(園城寺)の宿泊予約を始める。普通の寺院を新たに宿坊として改修する。年内に100カ所の施設を使えるようにする計画だ。

現在の宿坊サービスは旅館業法のもと、簡易宿所としての許可を得て営まれている。365日運営できるが、同法では住宅地での運営を認めていない。

民泊新法にもとづく運営にすると、人を泊められる期間が年180日に限られるが、住宅地で営める。楽天ライフルステイは、住宅地に数多くある寺院を民泊施設として取り込んでいく。

新しいサービスで予約できる施設は、宿泊して精進料理を食べ、実際に写経したり座禅を組んだりする。和空の田代忍社長は「宗派ごとの体験イベントを用意して楽しんでもらえるようにしたい」と話す。和空は、民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビーへの掲載を希望する宿坊の支援も手掛けている。

楽天ライフルステイは6月に開いた民泊仲介サイト「バケーションステイ」で、届け出手続き中を含めて約2千室を確保している。寺院をはじめとした個性的な施設を増やしたい考え。

太田社長は「一人でも多くの(施設の)オーナーの参入障壁を減らしたい」と話している。施設の運営代行や行政への届け出の手続きなども手掛け、寺院をサポートしていきたいという。

寺院にとってもメリットは大きいようだ。核家族化や都市化の影響で、檀家の減少に悩んでいる寺院が全国で増えている。空いている部屋を活用しながら、「観光客らと接点を持ち、寺を知ってもらいたいと考える住職はたくさんいる」(和空の田代社長)。

いかに利用者を確保するかという点で、民泊仲介各社が活路を見いだすのは「宿泊プラスアルファ」の体験型だ。体験を重視する「コト消費」が広がるなかで、寺院は日本文化を感じられる場として訪日外国人の人気が高い。

エアビーは着物の着付けや盆栽、サイクリング、料理など体験型のプログラムを日本で約1千件用意し、予約できるようにした。日本航空は民泊仲介の百戦錬磨(仙台市)と組んで民泊と航空券をセットで販売し、山菜採りや郷土料理作りを体験できる旅行プランを提供している。

楽天ライフルステイと米仲介大手ホームアウェイは全国古民家再生協会(東京・港)と組み、古民家を民泊施設に転用する取り組みを始めている。これも体験型サービスのひとつに位置づけられる。

(大西綾、大林広樹)



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