日本が動かすTPP11(中) 身構える農業・車焦る米、対 日FTA強硬に? 2017/4/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「日本が動かすTPP11(中) 身構える農業・車焦る米、対日FTA強硬に?」です。





 「一つのアプローチとして間違っているとは思わない」。25日の参院財政金融委員会。麻生太郎副総理・財務相は米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)の意義を聞かれ、理解を求めた。

 政府が「TPP11」にカジを切り、経済界に「焦る米国が日米自由貿易協定(FTA)を含む2国間交渉の要求を強めてくる」との不安が漏れる。

 トランプ氏に近い共和党関係者は「政権が目指しているのは日米FTAだ。日本が米抜きでTPPを進めれば、米政権は対日FTAを急ぐ必要が出てくる」と話す。

「第一の標的」

 とくに敏感なのは農業界だ。米通商代表部(USTR)の次期代表に就任予定のライトハイザー氏は3月の米上院委員会の公聴会で「農業分野の市場拡大は日本が第一の標的になる」と公言した。山本有二農相はTPP11を「慎重に考えていきたい」と漏らす。

 トランプ政権が農業とともに「不公正」と名指した自動車業界も身構える。この30年間に日本から米国の輸出はほぼ半分の170万台に減り、米国生産は6倍の400万台近くに増えた。だが、米国の2016年のモノの貿易での対日赤字は689億ドル。うち自動車が526億ドルを占め、標的になる可能性がある。

 経済産業省幹部は「日本の輸入関税はすでにゼロだ。米国と交渉することはない」と話すが、非関税障壁の是正などの要求への不安は消えない。

 もっとも、TPP11の有無にかかわらず、早晩、米側が2国間交渉を求めてくる状況に変わりはない。自動車は日本側が米国の関税引き下げを求めるのを懸念して米側が争点化を避ける可能性もあるが、農業分野の交渉は日本が不利との見通しが多い。このため「けん制材料として役立つのがTPP11だ」との見方は農業界にも少なくない。

 15年に大筋合意したTPPで、日本は国内農業の影響を和らげるため、コメ、牛豚肉、乳製品など重要5品目を「聖域」と位置づけ、農産品全体の関税撤廃率を81%とし、12カ国中で最も低く抑えた。交渉を経て得た国内の反発を抑えるぎりぎりのラインといえる。

EU交渉に期待

 政府は5月に始まるTPP11の協議で関税でも合意内容を変えずに維持する方針。農業で踏み込まれたくないという国内対策とともに、これで11カ国がまとまれば「日本は農業で譲らない」という米国へのメッセージになるという思惑がある。

 もう一つの米国へのけん制球が、年内の大枠合意をめざす欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)だ。ここでの焦点も農産品。首相周辺は「日本がEUと合意すれば、米も焦ってTPPに戻ってくる」と期待する。

 日本商工会議所の三村明夫会頭は「日本はグローバル化の中でしか生きられない」と語る。それであれば、並行して進む多角的な貿易交渉を活用して有利な条件に持ち込むすべを磨くしかない。



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