日本批判、フォードの影 非関税障壁、トランプ氏が標的に 北米市場競争に思惑 2017/1/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「日本批判、フォードの影 非関税障壁、トランプ氏が標的に 北米市場競争に思惑」です。





 【ニューヨーク=中西豊紀】トランプ米大統領は23日、自動車貿易を巡り、日本を名指しして「不公平だ」と批判した。米国での現地生産が進む現状を無視し、1980年代に逆戻りしたような批判の背景に、トランプ政権に急接近する米フォード・モーターなど米自動車業界の影がちらつく。アジアでは日本ではなく中国が重要な自動車市場となるなか、米側の狙いはどこにあるのか。

 「非常に前向きな会談だった」。トランプ大統領との朝食会に参加したフォードのマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)は23日、記者団にこう述べた。会合には鉄鋼大手のUSスチールやガラス大手のコーニングなど自動車関連産業の企業トップが出席した。

 日本メーカーが小型車の輸出攻勢をかけた80年代と異なり、いまは日系も米国生産が進む。米国で売る車のうち、北米での現地生産の割合はトヨタ自動車が7割、日産自動車は8割、ホンダは9割とされ、米国勢と遜色ない。ところがトランプ氏は23日の会合で「(日本は)日本市場で米国車を売れないようにしている」と断定した。

 トランプ氏の論法は、米自動車メーカーが日本企業や政府を批判してきた理屈と奇妙に似通う。

 日本は自動車の輸入関税がゼロなのに、米国は日本からの輸入乗用車に2.5%を課している。関税では日本市場の方が開放的だが、フォードやゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車大手は、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉時にも、執拗に「日本たたき」を繰り返してきた。

 輸入時の認証や安全、騒音、環境を巡る規制など、日本の「非関税障壁」が高いというのが「日本たたき」の論拠だ。実際には、TPPで関税を下げれば「米市場でライバルの日本勢を利するだけ」との危機感がある。

 こうした対日批判の最右翼は、2016年に日本市場から撤退したフォードだ。フォードは、トランプ氏から生産拠点の外国移転を非難されると、18年に稼働予定だったメキシコ工場の建設をあっさりと断念した。

 フィールズCEOはかつてフォードと提携関係にあったマツダの社長を務め、日本市場の実態に精通する。「日本たたき」に動くトランプ氏との関係でカギを握るのは、創業家出身のビル・フォード会長だといえる。

 フォード会長は昨夏、ニューヨークのトランプ・タワーで選挙戦中のトランプ氏と会い、その後も何度も電話で話した。両者に共通するのは「反TPP」の立場だ。メキシコ投資を巡り話し合ううちに急接近した。

 TPP離脱を宣言し、日本との2国間の貿易交渉をめざすトランプ氏にとって、自動車は日本に圧力をかける象徴的なカードとなる。日系メーカーが米国投資を増やせばそのまま手柄となる。

 一方のフォード。すでにアジアの最重要市場が中国に移り、縮小傾向の日本市場に狙いがあるとは考えにくい。フォード会長はトランプ政権と協議するテーマに「税制、貿易、そして為替」と語ったことがある。政権の力を借り、環境規制などとともに円安・ドル高を日本の「非関税障壁」だと攻撃し、成長鈍化が懸念される米市場でライバルの日本勢をたたく。そんな観測も成り立つ。

 富士重工業は北米で多目的スポーツ車(SUV)「フォレスター」や「アウトバック」の販売が伸び、16年の世界販売に占める北米市場の構成比は7割を占める。このうち、約6割は日本で組み立てて輸出している。

 マツダは北米でSUV「CX―5」など年間約45万台を販売。米国に生産拠点を持たず、北米向けは日本とメキシコで生産している。自動車摩擦が再燃すれば、日本勢の打撃は避けられない。



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