日米社債市場、なお警戒感 ギリシャ危機一服でも買い鈍く 2015/07/16 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「日米社債市場、なお警戒感 ギリシャ危機一服でも買い鈍く」です。





 日米の社債市場で、なお警戒感がくすぶっている。条件付きながらギリシャへの金融支援が決まり、リスク資産の一角である社債投資が増えやすい局面だ。だが、国債利回りに対する金利の上乗せ幅は高止まりし、投資家の買い意欲の鈍さを映す。年内と目される米利上げに伴う金利の先高観に加え、流通市場での売買が減り、売りたい時に売れないリスクも意識され始めている。

 「足元でスプレッドが縮小に転じる雰囲気が感じられない」とみずほ信託銀行の加藤晴康氏は話す。社債の流通市場の動きを見ると、シングルA格債(残存4~5年の残高加重平均値)のスプレッドは14日時点で0.16%台と高止まりしている。ギリシャ問題がひとまず落ち着き、も急落に歯止めがかかった。社債の買い意欲が高まると思いきや、投資家のリスク回避姿勢と連動するスプレッドが、じわじわと拡大している。

 「異変」は社債のでも起きた。東北電力の10年債のスプレッドは0.34%と2月の発行時(0.29%)から拡大した。川崎重工業の10年債のスプレッドも昨年7月の0.25%から0.39%へと広がった。投資家は「米利上げに伴い日本の国債利回りも上昇する可能性がある」(りそな銀行の杉浦公彦氏)と見ている。少し待てば高い利回りの社債が出てくるとの期待から、買いを手控えているようだ。

 米国市場でもスプレッドが拡大している。英バークレイズによると、投資適格債の米国債利回りに対するスプレッドは14日時点で1.46%台と、2013年7月以来の高い水準になった。利上げを控えて駆け込み的に起債が相次ぎ、1~6月の発行額は4000億ドル超と過去最高を更新した。社債の供給過剰が、スプレッドの拡大を引き起こした。

 見逃せないのは日米で社債の「流動性リスク」が意識され始めていることだ。

 

日本では日銀による大規模な金融緩和でが極めて低い水準に抑え込まれている。多少スプレッドが拡大しても「利回りを重視する投資家は社債を買わなくなった」(SMBC日興証券の原田賢太郎氏)。実際に、ある生命保険会社の運用担当者は「外債中心で国内の社債はほとんど投資していない」と打ち明ける。日本証券業協会のデータから算出した社債の月間売買高は、5月に約2.7兆円と09年8月以来の低水準になった。

 米国では金融機関が社債の売買業務に後ろ向きになっている。リーマン・ショック後の金融規制の強化で、社債を含めたリスク性資産の保有が難しくなった。金融機関が保有する社債の量は危機前の6分の1に減ったとの試算もある。投資家が社債を売買したいと思っても、相手が見つかりにくくなっている。

 流動性の低い市場は値動きが荒くなる。米国が利上げに向かう過程で世界の金融市場が動揺すれば、社債市場への影響も大きいだろう。「ギリシャ」と「中国」という2つの懸念が落ち着いても強気になりきれない投資家は、年後半のリスクに身構えているのかもしれない。(松本裕子)



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