景気ちぐはぐ回復(3)力強さ欠く世界経済 消費好調の米頼みに死角 2015/07/23 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「景気ちぐはぐ回復(3)力強さ欠く世界経済 消費好調の米頼みに死角」です。





 「米国の消費者は懐具合と自信の両面で大きな買い物に踏み切れるようになってきた」。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は15日の下院議会証言で消費の力強さを強調した。

伸びる新車販売

 「大きな買い物」の代表例が自動車だ。6年前に経営破綻した米ゼネラル・モーターズ。1~6月の新車販売台数はドル箱の小型トラックが前年同期に比べて16%伸びるなど好調だ。バーラ最高経営責任者(CEO)は今年、世界販売1千万台を掲げる。

 アトランタ連邦準備銀行が各種統計を基に速報する「国内総生産(GDP)ナウ」によると、4~6月の米GDP成長率(前期比年率)は2.4%。1~3月のマイナス成長から巡航速度に回復した。

 もちろん、楽観一色ではない。米有力企業のCEOで構成するビジネス・ラウンドテーブルの4~6月の景況感調査は前期から9.5ポイント低下した。最大の懸念材料は「米国以外の世界景気の不透明感だ」(議長のランドール・スティーブンソン米AT&TCEO)。

 緩やかな回復を続ける欧州は、頼みの個人消費がひところより勢いに欠ける。それでもギリシャのユーロ離脱という最悪のシナリオを回避し、先行きの不透明感はひとまず薄らいだ。

 おのずと世界の目は中国に集まる。4~6月の実質成長率は7.0%と、前の期と同水準を保った。しかし「実態は数字以上に悪い」との疑念は消えない。

 けん引役の不動産市場は新規の投資が動かない。マンション建設などに使う鉄筋の価格は7月、3年前の半値まで下がった。500グラム当たり1元(20円)と「ナスより安い」(四川省の鋼材卸業者)。1~6月の不動産開発投資は4.6%増と、約6年ぶりの低い伸びで低迷している。

 小売売上高の1割超を占める自動車販売も振るわない。6月の新車販売台数は前年同月比2.3%減。3カ月連続のマイナスだ。

 「連絡一つ寄越さず、逃げるな」。7月初めの上海市。販売不振で倒産した輸入車販売店の前で、中年男性が携帯電話を片手に怒鳴り声を上げた。年初に40万元(約800万円)でSUVを買ったが、無料の部品交換や点検サービスを反故(ほご)にされたという。

悪影響これから

 株安の悪影響が景気に表れるのはこれからだ。習近平指導部は「7%前後」という今年の成長目標の達成へ小刻みに景気下支え策を打つが、決定打はない。

 中国への輸出に依存する新興国経済は低空飛行を続ける。1~3月まで2四半期連続で前期比マイナス成長に沈んだインドネシアは1~6月の二輪車販売台数が2割超も落ち込んだ。

 世界経済への不安は米国の消費者の心理的な重荷になる。ニューヨークのウォール街近くで完全予約制の高級仕立て服店を経営するマイケル・アンドリューズ氏が首をひねる。投資銀行家らからの注文が「最近までよかったのに夏に入って勢いを欠く」からだ。

 米株式相場は再び過去最高値をうかがう。FRBのイエレン議長は年内の利上げを探る。にもかかわらずスーツを新調するほどの自信は持てないウォール街の迷いをグリーンスパン元FRB議長が代弁する。「米経済は世界全体がさえないなかでのベストにすぎない」

(景気動向研究班)



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