景気試される波及力(2) 消費、持ち直しの兆しも 負担増 ・将来不安が影 2017/4/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「景気試される波及力(2) 消費、持ち直しの兆しも 負担増・将来不安が影」です。





 若年層を中心とした「クルマ離れ」をよそに、ニッポンレンタカーサービスが2月から、輸入車販売のヤナセと組んで始めた高級輸入車の貸し出しが好調だ。

 「メルセデス・ベンツA180」の一般料金は12時間まで9720円。同じ排気量の国産車より総じて割高だが、企業の接待や若者のデートといった需要を掘り起こしている。

 「無印良品」を展開する良品計画は2018年2月期に3期連続の過去最高益の更新を見込む。松崎暁社長は「高くてもニーズに合った商品は需要を生み出している」と自信を見せる。

■雇用が追い風に

 景気回復で、消費に持ち直しの兆しが出ている。スーパーの販売額などから消費の勢いを調べる日銀の実質消費活動指数(インバウンド消費をのぞく)の1~2月平均は、16年10~12月平均を0.5%上回った。

 消費者心理も明るさを取り戻しつつある。半年後の暮らし向きや収入の見通しからはじき出す内閣府の消費者態度指数は4カ月連続で改善、13年9月以来、3年半ぶりの高水準を記録した。

 底流にあるのが雇用環境の良さだ。人手不足で有効求人倍率はバブル期以来の高水準。失業率も約22年ぶりに3%を割り込んだ。力不足とはいえ賃上げが続いている効果も出ている。

 とはいえ、企業業績や設備投資の勢いに比べればまだまだだ。総務省の家計調査によると、賃上げで勤労者世帯の可処分所得は緩やかに増えているが、実際にどれだけのお金を消費に回したかを示す消費性向は低下が止まらない。季節性をならした過去12カ月移動平均でみると2月は76.1%。07年7月以来の低さだ。

 その一因は家計の負担増だ。2月の消費者物価指数では資源価格の回復などから、電気代などエネルギーが2年2カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じた。4月には公的年金の保険料も上がった。

 社会保障の将来不安も影を落とす。みずほ総合研究所の大野晴香主任エコノミストは「老後への不安は大きい。共働き世帯では40歳代を中心に、配偶者の収入が増えた分を貯蓄に回している」と分析する。

■安値競争へカジ

 小売り主要57社のうち8割弱は18年2月期決算で増益を見込むが「脱デフレは大いなるイリュージョン(幻想)」(イオンの岡田元也社長)と、節約志向への警戒感を緩めていない。

 イオンは17日から、傘下のスーパー約400店で、食品や日用品の最大254品目を順次値下げし始めた。値下げ幅は平均約10%だ。セブン―イレブン・ジャパンも19日から洗濯用洗剤など日用品約60品目を8年ぶりに値下げした。小売り大手は安値競争へとカジを切っている。

 景気が良くなれば、自動車や家電の販売にはね返ったのは過去の話。今や先行きが見通しにくい非正規社員が労働市場の4割を占める。社会保障をはじめとする将来不安もぬぐえない中、景気に火が付いても大きな買い物に踏み切れないのが現実だ。生産増から賃上げ、消費拡大という景気の好循環を再び実現するには、一段の賃上げに加え、将来不安をどうやって取り除くかが問われることになる。

(景気動向研究班)



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