最高益の実相(下)じわり動く現金の山成長投資、次の飛躍へ 2017/11/2 5 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「最高益の実相(下)じわり動く現金の山成長投資、次の飛躍へ」です。





 東京エレクトロンは2018年3月期の設備投資と研究開発費を上積みする。1500億円と前期比4割増やし、6年ぶりに過去最高となる。最先端の装置開発や技術者確保に充て「今こそ次世代技術の差別化に向けて開発力を高めていく時だ」(河合利樹社長)。

ローソンは店舗作業の省力化を急ぐ(無人レジ実証実験)

膨らむ手元資金

 企業が成長投資へとじわり動き始めた。ファナックは11月初めに栃木県で工場用地を追加取得し、工作機械の頭脳にあたる装置を増産する。資生堂は訪日客需要を取り込むため、栃木県に36年ぶりの国内工場を新設する。日本経済新聞社の調査では、企業の17年度の設備投資額は前年度比13.6%増と4年ぶりに2ケタ増となる見通しだ。

 企業はITバブル以降、キャッシュフロー(現金収支)を確保するため設備投資を減価償却費の範囲内に抑えてきた。13年度に16年ぶりに設備投資が減価償却費を上回ったが、回復の動きはまだ緩やか。成長投資が今後どこまで本格化するかが焦点だ。

 投資抑制で山に積み上がったのが手元資金だ。直近で過去最高の117兆円と00年度に比べて8割増えた。総資産の増加率(4割)より大きい。資本効率を押し下げ、自己資本利益率(ROE)が16年度で8.7%と、2ケタ台の米国企業に見劣りする要因だ。

業種でばらつき

 手元資金の増加幅は業種ごとにばらつきがある。16年度の総資産に占める手元資金の比率をみると、サービスや精密機器、建設、電機など11業種が15%超となり、00年度の5業種から倍増した。これら業種の投資余力は大きい。

 カギを握る一つは省力化投資だ。人手不足は強まっており、省力化投資で生産性を高め付加価値の高い業務に人手をシフトする余地はある。JPモルガン・アセット・マネジメントによると、自動化などによる経済成長率の押し上げ効果は1.3ポイントと海外を上回る。

 ローソンは店舗業務の省力化投資を拡大する。全店にタブレット端末や新型レジを導入し、店員の商品発注などの業務軽減を狙う。投資拡大で18年2月期は15年ぶりの営業減益に転じるが、竹増貞信社長は「将来のためには技術革新の手を緩めない」と強調する。

 もう一つの課題は賃上げだ。法人企業統計によると企業の従業員の給与総額は16年度に152兆円と3年連続で増加。団塊世代の大量退職などで13年度まで減っていたが、政府の賃上げ要請もあり上向き始めた。ただ「中長期的な力強さはまだ見られない」(みずほ総合研究所の上里啓氏)。

 ベネッセホールディングスは4月、介護・保育子会社職員の待遇を改善した。月額給与の最大15%の引き上げなどで20億円弱を投じる。優秀な人材を確保し「中長期の安定成長を目指す」(安達保社長)。企業の賃上げの動きが広がれば、消費活性化に向けて歯車が回り始める。日本経済の「脱デフレ」に欠かせない。

 浜岳彦、須賀恭平が担当しました。



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