月曜経済観測 アベノミクスと株式市場 追加政策ないと上値重く 野村ホールディングスCEO 永井浩二氏 2016/05/30 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・経済面にある「月曜経済観測 アベノミクスと株式市場 追加政策ないと上値重く 野村ホールディングスCEO 永井浩二氏」です。





 日経平均株価は前年比で2割ほど低い水準にとどまる。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が27日閉幕したが、アベノミクスへの株式市場の信認が低下しているとの指摘も多い。実態はどうか。証券最大手、野村ホールディングスの永井浩二グループ最高経営責任者(CEO)に聞いた。

為替の前提狂う

 ――2016年の株式相場は市場関係者にとって誤算続きのようです。理由は何でしょうか。

 「最大の要因は外国為替相場だ。昨年末時点で今年は1ドル=120~130円で推移すると想定していたが、最近は1ドル=110~120円と円高・ドル安方向に修正された。米国は経済面では予想どおり利上げ基調になったが、政治的に円安・ドル高を認めない姿勢に転じた」

 「為替の前提が変わると企業業績にも影響が出る。16%程度伸びると見ていた15年度の企業の1株利益は資源安も響き、ほとんど横ばいだった。16年度は12%程度伸びそうだが、それを前提にしても年末の日経平均株価は1万9000円程度ではないか」

 ――外国人投資家も売り越しの姿勢が目立つようになりました。アベノミクスへの信認が下がっているのでしょうか。

 「今のところ大きな失望感が広がっているわけではない。アベノミクスが始まってから日本株は随分と上がった。世界経済に不透明感が強まる今、外国人投資家がとりあえず利益の確定に出るのは自然なことだ。いわば、アベノミクスの利食い売りだ」

 「外国人投資家が売却して得た現金を再び日本株に投じるかどうかが重要。安倍政権が掲げた脱デフレへの期待が従来よりも後退しつつある。政策対応が何もなければ、日本経済への悲観論が強まる。日本国債の格付けへの影響は非常に気になるが、消費税の引き上げには慎重な判断が必要だろう。財政がどこまで出動できるかについても市場の関心は高い」

 ――市場から見たグローバル経済のリスクは何でしょうか。

 「まず6月23日の英国の国民投票が挙げられる。仮に英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めれば、ポンドだけでなくユーロも売られるのではないか。これは翻って円高圧力が強まることを意味する。パナマ文書の問題もお金の流れや各国の政治への影響が読み切れない」

 「米大統領選の行方も混沌としており、市場の不確実性を高めている。米市場関係者が警戒を強めているのを感じる」

世界で流動性低下

 ――リーマン・ショックからすでに8年目です。金融機関経営にどんな変化が起きていますか。

 「規制が強化され、金融機関が市場取引に関するリスクを取りにくくなった。今後の規制がどうなるかを見通すのが難しいため、バランスシートを使って流動性を供給する業務は縮小している」

 「こうした事情から、株式、債券を問わず世界中の金融市場で流動性が低下している。ちょっとした出来事で株価などが乱高下しやすくなっているのも、背景には金融規制の影響も横たわっている」

(聞き手は編集委員 小平龍四郎)

 ながい・こうじ 2012年就任。「野村をつくりかえる」と言い続ける。57歳。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です