月曜経済観測 エネルギー市場の行方は 再生エネ 流 れ止まらずイベルドローラCEO イグナシオ・S・ガラン氏 2017/7/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「月曜経済観測 エネルギー市場の行方は 再生エネ 流れ止まらずイベルドローラCEO イグナシオ・S・ガラン氏」です。





 エネルギーを巡る国際政治のせめぎ合いが激しくなっている。米国は温暖化の枠組み「パリ協定」を脱退する方針。中東では産油国のカタールやイランから目が離せない。世界のエネルギー市場はどこへ向かうのか。欧州、北米、南米などに展開する多国籍電力大手イベルドローラのイグナシオ・S・ガラン最高経営責任者(CEO)に聞いた。

公共交通が先行

 ――トランプ米大統領はエネルギー政策を転換しました。世界は化石燃料を重んじる時代に逆戻りするのでしょうか。

 「米国以外は引き続きパリ協定に残り、温暖化対策に取り組む。例えば自動車産業は電気自動車やハイブリッド車に置き換えようとしている。先取りしているのは公共交通機関だ。大都市のバスがディーゼルから電気に切り替わるのは遠い将来のことではない」

 「米国のエネルギー政策で大きな役割を担う州政府は、再生可能エネルギーを増やそうとしている。米国の大手企業も温暖化対策に貢献するため、クリーンなエネルギーを使おうとしている。再生エネの市場はまだまだ拡大する」

 ――欧州や中東に点在する政治リスクは多国籍企業にとって不安材料では。

 「台頭する保護主義は確かにリスクだし、高失業率に悩む国もある。だが様々な危機が終わり、景気は上向いている。世界経済は新興国にけん引されて年3%を超える成長を維持するだろう。(債務危機で苦しんだ)スペインでも雇用が生まれ、財政赤字が減った。ユーロ圏では欧州中央銀行(ECB)が緩和の出口を探るところまできた」

 ――英国の欧州連合(EU)からの離脱は打撃ではありませんか。傘下に英電力大手があります。

 「英ポンドが下落し、ユーロ建てに計算し直せば会計上は影響が出る。ただ約120年前の創業以来、スペインでは内戦や(フランコ支配の)独裁政権を経験した。それでも民間企業として消費者に電力を供給するという姿勢を変えなかった。英国でも同じ。今後は再生エネに注力したい」

 ――再生エネは不安定だとの指摘があります。

 「原子力や火力発電所は24時間連続で運転できるが、メンテナンスなどで休止する。原子力は年7千時間、ガスや石炭は5千~6千時間稼働する。洋上風力発電はガスなどと遜色ない水準だ」

脱原発の実現を

 ――高コストでは。

 「発電所の新設で石炭か再生エネか迷うことはない。間違いなく後者。石炭は設備に加え、維持費用がかさむ。原子力は過渡期のエネルギー源だが安いというのは誤りだ。むしろ高くつく。スペインで7基の原発運営にかかわるが、燃料のウランだけでなく放射性廃棄物の管理・処分にコストがかかる。規制もどんどん厳しくなり、安全を守るため多額の投資が必要だ」

 ――脱原発になれば高度な専門技術が失われます。

 「確かにだれもが原発を持てるわけではない。(従業員の)訓練に膨大な資金を投じている。問題は利益が出ないこと。原発の段階的な廃止をスペイン政府に提案した。即実現は難しいが、ゆっくり(脱原発を)実現させるべきだ」

(聞き手は 欧州総局編集委員 赤川省吾)

 Ignacio S. Galan スペイン企業を世界有数の電力会社に育てた。66歳。



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