月曜経済観測 マイナス金利と住宅 先行き不安、着工数減も 大和ハウス工業社長 大野直竹氏 2016/07/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・経済面にある「月曜経済観測 マイナス金利と住宅 先行き不安、着工数減も 大和ハウス工業社長 大野直竹氏」です。





 アパートなど堅調だった住宅市場にマイナス金利政策はどう影響しているのか。住宅や商業施設にどんな新たな需要が生まれているのか。大和ハウス工業の大野直竹社長に聞いた。

 ――住宅市場の先行きをどう見ていますか。

 「2015年度は前年度よりも4万戸増えた。15年1月の相続増税への節税対策として賃貸住宅の建設の需要が大きく伸びた。貸家の着工は依然として底堅いが、いつまでも右肩上がりではいかないだろう」

需要喚起難しく

 「住宅着工戸数全体では今年度は昨年度より約6万戸減り、86万戸になると予測している。やや厳しめの見方かもしれないが、相続増税の効果が一段落することに加え、人口減少の影響もある。景気の先行への不透明感もある」

 ――先行きが不透明な原因は何ですか。

 「日本の景気がまるっきりだめというわけでもない。ただ中国経済の減速や英国の欧州連合(EU)離脱問題など海外の要因で、ここ数カ月、株安や円高など悩ましいことが起きている。1年先にどうなっているか消費者も不安を抱いているのではないか」

 ――マイナス金利政策の住宅市場への影響は。

 「もともと戸建て住宅を建てようと思っている人の後押しにはなるかもしれない。ただ住宅ローンの金利はすでに相当下がっており、需要喚起に効果があったとは思えない。一方、賃貸住宅は資産運用としての建設が主。家賃が変わらないなか、ローンの金利が下がればトータルの利回りはよくなるので、一定の影響は及ぼしているだろう」

 「政府も日銀も精いっぱい応援してくれている。後は民間ががんばらないといけない。むしろ金利のマイナスがもっと大きくなれば、傷つく企業が出てくる。将来の退職金の支払いに備える退職給付債務が膨らみ、積み立て不足が発生するケースなどだ」

倉庫建て替え加速

 ――住宅市場で新たな動きはありませんか。

 「アパートやマンションなどの賃貸住宅で、趣味のためという理由で部屋を借りる人が増えてきている。書道や工作をしたり、絵を描いたりするなど目的はいろいろあり、ここ1、2年需要が強まっている」

 「根底には、日本の住宅はやりたいことをすべて完結できるほど広くないという事情がある。所得の多い層を中心に、自分の空間で自分の技術をもっと高めたいという思いがあるのだろう。核家族化による住宅需要の変化の流れの一つだ」

 ――商業施設の建設にも力を入れていますね。

 「コンビニエンスストアなどライフスタイルの変化から生まれる需要に応えている業種は成長している。時間や場所を問わずに消費活動を行えるインターネット通販が様々な分野で拡大している影響も大きい。新たな消費ニーズに応えるため、物流施設の開発が全国で盛んになっている」

 「昔の倉庫と違い、買った商品が消費者のイメージと違ったときに返品を受け付けたり、1日に何回も配送したりするなど様々な機能が求められる。控えめに見て、いまの倉庫の7割は対応が難しく、それだけ建て替えの需要がある」

(聞き手は編集委員 吉田忠則)



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