月曜経済観測 世界経済の好転は本物か 中国に勢い、内需 も底堅く ブラックロック・ジャパン会長 井澤吉幸氏 2017/2/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「月曜経済観測 世界経済の好転は本物か 中国に勢い、内需も底堅く ブラックロック・ジャパン会長 井澤吉幸氏」です。





 グローバルに政治の不透明感が漂うなか、世界経済は底堅さを指摘されだした。その背景は何か。日本の経済と企業の行方をどう見るべきか。世界最大級の資産運用会社、米ブラックロック日本法人の井澤吉幸会長に見通しを聞いた。

■信用拡大の局面

 ――足元の世界経済の好転は本物でしょうか。

 「回復の足取りは確かとみている。米国は賃金が上昇しだした。欧州も政治の先行きは不透明だが、信用拡張が始まっている。息の長いグローバルリフレーション(信用再拡大)の局面を迎えつつあると思う」

 ――新興国の景気は。

 「昨年初めには好調なのはインドくらいだった。今や回復の裾野が広がっている。見逃せないのは内需をけん引役とした中国の持ち直しだ。石炭や鉄鉱石の需要回復につながり、商品相場の上昇を促している」

 ――中国のプラス寄与が大きいのでしょうか。

 「その通りだ。石炭や鉄鉱石の輸出国であるオーストラリアやブラジルの経済が上向いている。原油相場の底打ちでロシア経済は窮地を脱しつつある。中国向けの輸出が多いアジア諸国の景気も回復している。日本の外需は中国発の好循環の恩恵を受けつつある」

 ――どんな経路で?

 「日本の輸出入に占めるアジア貿易の比率は1990年には30%だったが、今や50%超。中国のおかげで東南アジア諸国連合(ASEAN)が上向いているので、日本のアジア向けの輸出が増えている」

 ――内需はどうですか。

 「外需ほどの勢いはないものの、底堅い。衣料に比べて、食料の好調が目立つ。肉や卵の消費を占ううえで飼料業界に注目しているが、その業績が良い。住宅は貸家以外の受注が意外に堅調だ。サービスではとくに介護が伸びている。インターネットを通じた消費が年15兆円規模に達したとみられるなど、内需の構造は前向きに変化している」

 ――日本企業はそんな変化の波に乗れていますか。

 「2000年ころと比べると、日本企業の体質は確実に高まっている。資産をスリム化し、事業の選別を進めてきた。キャッシュフロー(現金収支)経営が定着し、製品やサービスの地産地消というべきグローバル化が加速している」

■企業統治が定着

 ――対日投資判断は。

 「当社は1000社以上の日本企業の株式を保有し、日本株の保有残高は20兆円を超える。長期投資家として企業価値を向上させる経営者との対話を心がけているが、ここへきての大きな変化はコーポレートガバナンス(企業統治)が定着してきたことだ。流れに弾みをつけてほしい」

 ――安倍晋三政権の経済政策をどう評価しますか。

 「カギは構造改革だ。日本では成長戦略といわれるが、そもそも事業を伸ばすのは民間企業の仕事だ。安定政権の強みを生かし、過剰な規制はどんどん取り払うべきだろう」

 ――どんな分野ですか。

 「農業や医療は規制を取り払えば、まだまだ伸びる。海外での日本食の人気は高いのだし、日本の医療を受けたいと希望するアジアの人たちも多い。肝心なのは自由にビジネスができる環境を整えることだ」

(聞き手は編集委員 滝田洋一)

 いざわ・よしゆき 三井物産からゆうちょ銀行社長を経て現職。69歳。



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