月曜経済観測 人の移動に映る景気 息長い成長、底堅さ実 感 JR東海社長 柘植康英氏 2017/1/9 本日の日本経済新聞 より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「月曜経済観測 人の移動に映る景気 息長い成長、底堅さ実感 JR東海社長 柘植康英氏」です。





 株式市場はトランプ相場に沸くが、「人の移動」からみた実体経済の動向はどうだろう。東海旅客鉄道(JR東海)の柘植康英社長に聞いた。

■在来線に訪日客

 ――東海道新幹線はいつ乗っても混んでいる印象がありますが。

 「ビジネス客を中心に需要は堅調だ。運んだ人数に距離を掛けあわせた輸送量でみると、直近の底の2009年度を100とすると、それ以降6年連続で増え、昨年度は120になった。今年度も現時点で前年度実績を1%程度上回っており、プラス成長はほぼ確実という手応えがある」

 「7年連続の伸びが実現すれば、1964年に東海道新幹線が開通して以来、初めてのことで、高度成長期やバブル時代にもこれほど息の長い成長はなかった。背景にはアベノミクスや日銀の金融緩和による経済全体の底堅さがある。日本の名目GDP(国内総生産)は足踏みが続くが、旅客需要の強さを見ていると、GDP統計が経済の実態をとらえ切れていないと疑問に思うこともある」

 ――円安の効果は。

 「東海地区には自動車や電機など輸出産業が集まっており、円安は追い風だ。ちなみにグリーン車の伸びは普通車を上回っており、これも企業業績の好調さの反映だと思う」

 ――外国人観光客の増加も好調の要因ですか。

 「1日45万人を運ぶ東海道新幹線では外国人の比率はまだまだ小さく、目に見えるほどの押し上げ要因にはなっていない」

 「それよりもインバウンド効果が顕著なのは、外国人に人気のある在来線で、当社で言えば名古屋と富山を結ぶ高山本線だ。沿線には合掌造りで知られる白川郷や映画『君の名は。』の舞台になった飛騨古川があり、欧米や台湾からの個人旅行客に人気が高い。同線を走る特急『ひだ』は乗客の2~3割が外国人ということも珍しくない」

■マンパワー必要

 ――建設や貨物輸送の現場では人手不足が顕著ですが、鉄道は。

 「幸いJR東海本体は人が足りないということはないが、首都圏では営業店舗などで人手を集めるのに苦労している。新卒の採用が難しくなっているほか、労働単価も多少上がっているようだ。一方で安全運行に欠かせない線路の保守点検作業には協力会社も含めて毎晩5千人を投入しているが、こちらは継続的に仕事をしており、マンパワーを確保できている」

 ――春の労使交渉にはどう臨みますか。

 「出せる企業はしっかり出して、経済全体の好循環につなげていけばいい。当社は過去3年連続でベースアップを実施した。業績を踏まえての判断になるが、今年もベアを続けたい気持ちはある。円安と金融緩和で企業は元気になった。その元気を例えば非正規労働者を正社員に転換するといった形で社会に還元することも大切だと思う」

 ――リニア中央新幹線の状況は。

 「低利の財政投融資の借り入れが実現し、工事も今年から本格化する。5千人におよぶ地権者との用地取得交渉もある。関係者の理解を得ながら、着実に前に進めたい」

(聞き手は編集委員 西條都夫)

 つげ・こうえい 人事・労務畑が長い。リニア建設では陣頭指揮も。63歳。



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