月曜経済観測 価格で見る世界景気 成長の芽は南半球にあり JT社長 小泉光臣氏 2016/03/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・経済面にある「月曜経済観測 価格で見る世界景気 成長の芽は南半球にあり JT社長 小泉光臣氏」です。





 世界的に景気の足踏みが続くが、そんな中でモノの価格はどう動いているか。たばこから見た各国の景気を日本たばこ産業(JT)の小泉光臣社長に聞いた。

値上げは不可欠

 ――4月から国内で主力商品の「メビウス」を10円値上げします。

 「消費増税に先送り論も出る中で、なぜだと思うだろう。だが、日本は喫煙人口の高齢化や減少もあって1997年を境に市場が縮んでいる。値上げで収入を補う必要がある」

 「本来ならデフレ脱却がはっきりしたら。例えば日銀の言う『物価上昇率2%』が見えたときにするのが王道だろう。だが、そうなるのがいつかがはっきりせず、指をくわえて待つのはどうかと思った。顧客は一時的に離れるだろうが、それでも今年12月期決算の営業利益への影響はプラスマイナスゼロになる。値上げしなければマイナス成長だ」

 ――日本では今後も値上げで利益を守るのですか。

 「きれいごとかもしれないが、利益は顧客から一時的に預かったもの。それを研究開発に充てて新しい価値を商品に加えるのがあるべき姿だ。たばこにも味、香りと技術の進化があり、そういうものを商品にきちっと反映していく。どの分野でもそうだろうが、日本はよりプレミアムな市場にしていかないといけない」

ロシア減収重く

 ――たばこで世界3位。他の国々はどうですか。

 「JTにとって最大の海外市場、ロシアは天然資源への依存度が高く、ウクライナ問題の経済制裁もあって経済の回復が期待薄だ。GDP(国内総生産)の伸びは昨年がマイナス3.8%、今年も約0.6%のマイナスだろう。物価上昇も続く」

 「当社も4回値上げしたが収入の減少は補えていない。ルーブル安で円換算の売上高も目減りする。ロシアでは販売シェアで1、3位の銘柄を持つが、可処分所得が減っている間はもっと値ごろ感のある商品が必要だと感じている」

 ――欧州は。

 「経済は堅調だ。だが難民問題で社会保障費が増え、財政悪化懸念がある。欧州連合(EU)から離脱するかどうかの英国民投票もあり、ポンドの価値がどうなるか、モノやカネの流れがどうなるかで価格や投資戦略にも影響がある」

 ――今後期待する国は。

 「人口が増えるアジアとアフリカ。地政学リスクもあるが中東が魅力的だ。面白い現実がある。貧しい国ではたばこの1本買いが中心だが、1人あたりGDPが一定水準に達すると20本のパッケージで買う人が急増する。さらにある水準になると『ウィンストン』など国際的な銘柄を買う」

 「数字は企業秘密だが、いま力を入れているのがエジプトやスーダンだ。20本で買うところまで来て、もうすぐ国際的商品を買い始める時期に入る。タンザニアは1本買いからパッケージ買いへの移行期。100カ国以上に進出しているが、白地図に発展の段階を書き込みながら、価格戦略や企業買収を練っている」

 「南半球は全般に成長市場が多い。北半球は大半の国で需要が縮小している。世界全体では横ばいから微減。そういう構図だから投資するなら南半球になる」

(聞き手は編集委員 中山淳史)



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