月曜経済観測 原油安の行方は 持ち直しまで1年以上 出光興産社長 月岡隆氏 2016/02/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・経済面にある「月曜経済観測 原油安の行方は 持ち直しまで1年以上 出光興産社長 月岡隆氏」です。





 原油の国際相場は一時1バレル30ドルを下回り、12年ぶりの安値を記録した。世界経済への影響も大きい原油相場の行方を、出光興産の月岡隆社長に聞いた。

現在は下げすぎ

 ――原油相場の下落が止まりません。

 「長期的に見れば現在の水準は下げすぎだろう。ただ、原油市場が供給過剰に陥り世界の在庫が積み上がった状況では短期的に下げが加速しやすい。国際的な相場形成に影響力を持つ米先物市場では投機マネーの売りも目立つ」

 ――有力産油国の間では増産に歯止めをかける動きも出てきました。

 「サウジアラビアなどがこれ以上増産しないことで合意した背景には、ベネズエラやロシアなどが経済的に追い込まれていることがある。しかし、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC諸国が協調減産にまで踏み込む可能性は小さい」

 「現在の状況は石油危機後の1985~86年に似ている。当時も北海油田など新たな供給源が台頭し、サウジは需給の調整役をやめた。今回はロシアの増産に加え、米国を中心にシェールオイルの開発が進んだ。サウジが市場シェアを失ってまで減産に踏み切ることは考えにくい」

 ――需給調整のカギはシェールにあると?

 「開発や生産のコストが下がったとはいえ、シェール企業の採算は悪化している。今後は経営に行き詰まったシェール企業が石油メジャーの傘下に入り、メジャー主導で減産が進む展開を予想する。ただ、需給が均衡しても、これだけ在庫が積み上がると相場回復には時間がかかる。あと1年以上は必要だろう」

40~50ドル水準に

 ――原油相場はどれくらいの水準まで回復すると予想しますか。

 「油田の開発コストを踏まえれば40~50ドルあたりではないか。相場がさらに上がるかどうかは世界経済の動向にかかる。株式市場が原油相場の動きを気にするのも、その背後に中国を中心とした新興国経済の変調があるからだ」

 「原油安は日本経済にとって恩恵も大きいが、新興国経済の変調は輸出に逆風だ。こうした状況で企業は安心して投資できない。通貨安などに直面する新興国経済の混乱を収拾し、世界経済が成長への好循環を取り戻すことが重要だ」

 ――供給過剰の現状は、日本にとって海外で資源の権益を獲得する好機です。

 「米国政府による原油輸出解禁は、日本にとって調達の選択肢が増えることになる。資源を持たない日本は新たな権益確保も着実に進める必要がある。だが、資源関連企業の多くは相場急落で財務内容が悪化し、投資に踏み切る余力がなくなっている。資源の継続確保に日本全体でどう取り組むかの議論も必要だ」

 ――国内では石油業界の再編が進みます。

 「国内需要が縮小する中で石油業界が適正な利益を確保するためには過剰設備と過当競争、複雑な流通構造の問題を改善しなければならない。東京商品取引所などがけん引し、公正で透明性の高い価格指標をつくる努力も大切だ。業界全体で競争力を高める取り組みが求められる。元売りの統合はその一歩だ」

(聞き手は編集委員 志田富雄)

 つきおか・たかし 昨年7月に昭和シェル石油と経営統合で基本合意。64歳



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