月曜経済観測 政治と市場の関係 反EU機運、経済にも影 アセットマネジメントOne社長西恵正氏 2016/12/5 本日の日本経済新 聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「月曜経済観測 政治と市場の関係 反EU機運、経済にも影アセットマネジメントOne社長西恵正氏」です。





 米大統領選後、世界の金融市場は不安定な動きが続いている。今後の政治と市場、経済との関係はどうか。大手運用会社アセットマネジメントOneの西恵正社長に聞いた。

 ――投資家の立場からトランプ次期米大統領の政策をどう見ていますか。

 「これほど就任する前の発言が金融市場に影響を与えている『次期大統領』はちょっと記憶にない。具体的な政策が出てくるのはまだ先なので、それまで市場はトランプ氏の政策らしき物の都合の良い部分だけに注目していられる。政策の整合性は意識されていない。実体の乏しいドル高・株高の基調はしばらく続くのではないか」

 ――特にどの市場を注視すべきでしょう。

 「米国の10年物国債利回りだ。他の市場に比べて根拠を伴った動きをしているからだ。トランプ氏の経済政策が成功して米国の景気が拡大すれば、金利は上昇する。失敗しても減税やインフラ投資によって財政赤字だけは拡大するだろうから、やはり金利の上昇圧力が高まる」

米景気しっかり

 「米10年の利回りは今後、最高でも2.75~3%程度で落ちついていくのではないか。この水準を前提にすると違和感のない外為相場の水準は1ドル=110~120円。そうなると日本企業の業績も好転するだろうから、2017年3月末までに日経平均株価が2万円を試す場面もあると見ている」

 ――米国経済のファンダメンタルズは強いのでしょうか。

 「世界を見渡して相対的に最もしっかりしているのが米経済だ。確かに世界全体を引っ張る力はないが、インターネット経由のものを含めた個人消費が国内の景気を支えている。この面で長期金利が上昇する素地は整っている」

 ――世界経済の懸念材料は何でしょう。

 「欧州の政治だ。グローバリズムを否定する機運が危険なほど高まっている。反欧州連合(EU)を掲げる政治勢力がさらに躍進するようだと共通通貨ユーロの信認は揺らぎ、世界の金融市場はリスク回避の様相が強まる。せっかく欧州に回帰しつつあった投資資金が米国に流れ長期金利は急低下。安全資産とされる円も買われ、日本の株価に下落圧力が強まる」

大胆な対策を

 ――2017年の日本経済の見通しは。

 「米欧の政治・経済の激流のなかである程度、翻弄されることは仕方ない。根っこの部分には潜在成長率の低下という構造問題も横たわる。少子高齢化や人口減少といった問題への有効な政策が、今に至るまでとられていない」

 ――安倍晋三首相の経済政策、アベノミクスへの市場の評価はどうですか。

 「外国人投資家の期待は当初よりも冷めている。しかし、何か思いきった対策が打ち出されれば、それをきっかけに彼らの資金は再び勢いよく市場に流れ込むのではないか。アベノミクスへの評価は下がり気味だが、日本への関心が失われたわけではない。米大統領選の後、外国人投資家が日本の株式市場にも資金をふり向けたことが、それを示唆している」

(聞き手は編集委員 小平龍四郎)

にし・やすまさ 旧日本興業銀行の在籍時、米債市場で経験を積む。63歳。



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