月曜経済観測 米利上げの行方は 物価次第、当面は様子見 元FRB理事 フレデリック・ミシュキン氏 2016/04/04 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・経済面にある「月曜経済観測 米利上げの行方は 物価次第、当面は様子見 元FRB理事 フレデリック・ミシュキン氏」です。





 米連邦準備理事会(FRB)が世界経済や金融市場の動向を見極めながら、昨年12月に続く利上げのタイミングを探っている。その環境はまもなく整うのか。フレデリック・ミシュキン元FRB理事に聞いた。

急ぐ理由がない

 ――米経済の現状をどうみていますか。

 「景気の底堅い回復が続いている。足元の失業率は5%で、もはや完全雇用に近い状態にある。それでも賃金が伸び悩み、前年比2%の物価上昇率目標を達成できていない。物価予想(インフレ期待)が低下しているのは心配だ」

 「最大の懸念は世界経済の減速だろう。中国や欧州、日本の景気がもたつき、米経済の足を引っ張りかねない。市場の地合いにもまだ不安が残る。FRBが利上げを急ぐ理由は、いまのところ見当たらない

 ――FRBが今年想定する利上げは、4回から2回に修正されました。

 「もともと4回は無理だと思っていた。2回ならまだ理解できる。要は米国の物価次第だ。現時点でインフレ圧力が急速に強まる兆候はなく、当面は様子を見るのではないか」

 「いまは利上げが遅れるよりも、早すぎて失敗するリスクの方が大きい。物価上昇率が目標を下回っているうちは、利上げを見送るべきだろう。もちろんインフレ圧力が予想以上に強まり、2回以上の利上げを迫られる可能性も残る」

対話手法改善を

 ――市場との対話に問題はないでしょうか。

 「市場が不安定さを増した要因の中には、FRBのコミュニケーションに対するいら立ちもある。利上げの時期や回数をにじませるような対話術が、かえって市場の予想をゆがめ、逆の効果をもたらしている面は否めない。経済指標の動きに沿って利上げの是非を判断するという対話術に徹した方がいい。イエレン議長も統計重視の対話に傾いているが、まだまだ改善の余地があるはずだ」

 ――日本や欧州が採用しているマイナス金利政策をどう評価しますか。

 「中央銀行に預けたお金に手数料を課すマイナス金利は、金融機関の収益を圧迫する恐れがある。金利の低下や融資の拡大に有効かどうかも確信が持てない。FRBが導入をためらっていたのはそのためだ

 「先進国の中銀は経済の底上げを目指し、ゼロ金利政策や量的金融緩和を駆使してきた。それでも物価が上昇しにくいという共通の悩みを抱える。日本や欧州はほかに良い政策手段を見つけられず、やむなくマイナス金利を導入したのだろう。ひとつの実験ではあるが、有効に機能するかどうかはわからない」

 ――日本経済の課題はどこにあるでしょうか。

 「安倍晋三政権下で大胆な金融緩和に踏み切ったのは良かったが、期待通りの成果が出ていない。そこで消費増税を敢行し、国民がお金を使わなくなってしまった。当面は財政出動で景気を下支えし、中長期的に国の債務を圧縮する工夫も必要ではないか」

 「日本の人口減は深刻だ。輸出産業に比べて内需産業の生産性が低いといった問題もある。移民の受け入れや女性の活用を含めた構造改革が欠かせない

(聞き手はワシントン支局長 小竹洋之)

 Frederic Mishkin 米コロンビア大教授。2006~08年にFRB理事。65歳



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