月曜経済観測 米経済の実力は 3%成長、維持は困難米ノ ースウェスタン大教授 ロバート・ゴードン氏 2017/10/30 本日の 日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「月曜経済観測 米経済の実力は 3%成長、維持は困難米ノースウェスタン大教授 ロバート・ゴードン氏」です。





 米経済の底堅い回復が続いている。トランプ政権は税制改革などを実行に移し、目標の年3%成長を達成できるのか。米ノースウェスタン大学のロバート・ゴードン教授に聞いた。

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景気に好循環

 ――米経済の現状をどう診断していますか。

 「安定成長の軌道に乗っている。雇用や所得の伸びが個人消費を下支えし、景気の回復を引っ張るという好循環がみられる。強い衝撃を受けない限り、失速することはあるまい。2009年7月からの景気回復局面は、戦後最長の10年間を超える公算が大きい」

 ――物価が思うように上がらないのが悩みです。

 「インフレ加速の分岐点となる失業率(NAIRU)が、4%程度に下がっているのだろう。労働組合の影響力の低下や非正規雇用の拡大といった複合要因がある。だが賃金の上昇に拍車がかかり、インフレを誘発する可能性は残る」

 ――米連邦準備理事会(FRB)は、金融政策の正常化を急ぐ構えです。

 「金融危機後の量的緩和で膨らんだ保有資産(約4.5兆ドル)の圧縮に着手したのは妥当だ。10年以上の長い時間をかけ、適正な規模を目指して緩やかに減らしていくだろう。今後2年程度にわたり、政策金利(現行年1.00~1.25%)を3%近辺まで引き上げるのも理解できる」

生産性伸び悩み

 ――足元の米経済は堅調でも、中長期の成長力に対する不安が拭えません。

 「問題は生産性の伸び悩みだ。過去7年間の伸びは年平均0.6%止まりで、1920~70年の2.8%、70~2006年の1.8%を大幅に下回った。技術革新の効果が薄れてきたのが主因だと私は思う」

 「IT(情報技術)の発展に、電気や上下水道の普及に匹敵するほどのインパクトはなく、その効果もいよいよ一巡しつつある。米経済の回復などを追い風に、今後25年間の生産性の伸びは1.2%まで高まるとみているが、かつての水準には戻れない」

 「これに労働力の伸びを加味すると、米経済の実力を示す潜在成長率は1.7%程度になる。トランプ政権の税制改革などで実質成長率を押し上げても、3%の水準を維持するのは困難と言わざるを得ない」

 ――米経済の底上げに必要な政策は何ですか。

 「成長の起爆剤は3つある。第1は教育の拡充だ。多くの子供が適切な教育を受け、より良い職を得られるようになれば、各層に恩恵が行き渡る『包摂的な成長』の一助にもなる」

 「第2は設備投資の喚起だ。余剰資金をため込んだり、配当や自社株買いに回したりする企業の行動をすべて変えられるとは思わないが、税制優遇で一定の投資を引き出すことはできる。第3は技術革新の促進で、こちらはむしろ政府の介入を抑えた方がいい」

 ――トランプ政権の政策で問題を解決できますか。

 「多くの面で方針を誤っている。移民の制限や保護貿易は、成長力の強化にとって明らかにマイナスだろう。税制改革も強者と弱者の格差を広げる結果に終わりそうだ。無理な財政出動で景気が過熱し、FRBが想定以上の急激な利上げを迫られる恐れもある」

(聞き手はワシントン支局長 小竹洋之)

 Robert Gordon 著書「米国の成長の盛衰」で技術革新の停滞を憂慮。77歳。



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