月曜経済観測 2016年の世界経済は 資源安解消、時間かかる 三井物産社長 安永竜夫氏 2016/01/11 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合・経済面にある「月曜経済観測 2016年の世界経済は 資源安解消、時間かかる 三井物産社長 安永竜夫氏」です。





 中東情勢の緊迫や北朝鮮の核実験、世界的な株安など波乱の幕開けとなった2016年。世界経済をどう展望し、活路をどこに求めるのか。安永竜夫三井物産社長に聞いた。

減速し調整へ

 ――年明け早々、株価の下げが急です。

 「昨年来、中国経済の新常態への移行や米国の利上げ、フランスのテロや中東情勢の激動など世界経済は大きな変化に向き合っている。株価の不確実性が高まり、しばらくは変動しやすい状況が続くだろう」

 ――世界経済の先行きをどう見ますか。

 「一言でいうと、調整の年になりそうだ。全体として減速すると思う。例えばブラジルは今年オリンピックがあるが、資源安に直撃されて、経済は苦しい。ロシアも同様だ。大陸欧州も国粋主義的な動きが強まれば、経済にとってマイナスだろう

 「中国は株式市場こそ動揺しているが、実体経済はそこまで悪くないと思う。上海や北京などの沿岸部は輸出主導から内需主導の経済へ転換が進んでいる。今後の注目は過剰能力の整理統合だ。例えば大手2社への集約が進んだ日本の鉄鋼産業は、彼らにとってもお手本になる。一方で企業の整理統合や生産規模の縮小は痛みも伴う。ハードランディングを避けながら、過剰能力を処理できるのか、力量が問われる

米の成長に期待

 ――明るい地域は。

 「やはり米国は強い。イノベーションを伴った成長が期待できる。英国やインド、フィリピンも堅調。日本も悪くないと感じる。企業収益は底堅い。問題はむしろ多くの業界で労働力不足が深刻化していることだ。技術革新による省力化や働き方の改善、外からの人材受け入れなど様々な仕掛けづくりがカギを握る」

 ――原油安や金属資源安はいつまで続きますか。

 「中東情勢は緊迫しているが、それで原油相場が跳ね上がるという過去の単純な図式は崩れている。サウジアラビアとイランの対立が深まっても、軍事行動がないかぎり、原油価格は高騰しない可能性がある」

 「金属資源を含めて、相場の回復は3~4年先ではいか。シェールオイルの生産拡大やイラン原油の輸出拡大、中国を含めた新興経済の減速など種々の要因で上値は重い。こうした需給の不均衡は一朝一夕には解消できず、ゆっくりと時間をかけながら戻していく展開を予想する」

 ――商社の経営環境は厳しさを増しそうですね。

 「こんな時こそ新しい成長ゾーンはどこかを見定める目利き力が必要だ。同時に処理すべきものは処理して、次の飛躍に備えないといけない。各人がそれぞれの持ち場でプロフェッショナルとして仕事をする。そんな覚悟がほしい」

 ――新成長ゾーンとは?

 「例えば中国では食品の安全性について消費者の関心が急速に高まっている。日本の食品会社などと協力しつつ、安全・安心を担保した流通網づくりができれば、商機が広がる」

 「世界的に高齢化が進むなかで、医療分野も有望だ。当社の出資先のインドの病院を訪ねると、患者さんであふれかえっており、ニーズの大きさを実感した」

(聞き手は編集委員 西條都夫)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です