東南ア、海洋防衛強化 インドネシア、基地拡張に着手 ベトナム、対潜哨戒機検討 南シナ海で対中けん制 2016/08/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「東南ア、海洋防衛強化 インドネシア、基地拡張に着手 ベトナム、対潜哨戒機検討 南シナ海で対中けん制」です。





 【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシアやベトナムなど東南アジア各国が海洋防衛を強化している。戦闘機や潜水艦などの配備を増強したり、基地を拡張したりする動きが相次ぐ。南シナ海を巡って中国の主権の主張を否定する仲裁裁判所の判決が出た後も中国は実効支配を進めており、こうした動きをけん制する狙い。中国が強硬姿勢を緩める可能性は低く、今後緊張が高まりかねない。

 インドネシア国軍幹部は日本経済新聞の取材に対し、南シナ海南端にある同国領ナトゥナ諸島に、空軍のF16戦闘機5機と海軍のフリゲート艦3~5隻を年内にも配備する計画を明らかにした。同国はナトゥナ諸島にある基地の拡張工事に着手。2017年末までに滑走路整備や軍港拡張を終える。潜水艦の配備も計画するほか、ロシアからの戦闘機の購入も視野に入れる。

 インドネシアは同諸島沖の排他的経済水域(EEZ)を中国が「伝統的な漁場」と主張し、漁船や海警局の艦船が頻繁に出没することに神経をとがらせている。6月にはジョコ大統領が同諸島沖を視察したが、その翌日に中国の原子力潜水艦が付近を航行するなど神経戦が続く。

 南沙(英語名スプラトリー)諸島などで中国と領有権を争うベトナムやフィリピンも海洋防衛の強化を急ぐ。ベトナムは15年以降、ロシアから「キロ」級潜水艦を6隻購入し、南部の要衝、カムラン湾基地に配備した。さらに対潜水艦哨戒機を導入する検討を始めた。新品のP3を導入するか、日本の海上自衛隊が運用するP3Cの“中古品”を導入する方針だ。

 フィリピンでは事実上駐留する予定の米軍が6月、EA18電子戦機4機をマニラ北郊のクラーク空軍基地に配備した。海洋監視強化が目的の一つだ。今春には海自の潜水艦「おやしお」、大型護衛艦「いせ」が相次いでスービック港に寄港した。

 ベトナム、フィリピンは、南沙諸島海域などに中国が多数配備しているとされる潜水艦を警戒。海と空の両面から対潜水艦作戦の能力向上を目指す。

 中国と直接の係争を抱えていないシンガポールも昨年12月、米軍のP8対潜哨戒機の配備を受け入れた。配備は3カ月に1回の頻度で、名指しはしていないが、中国軍の警戒が目的なのは明らかだ。カーター米国防長官は今年6月、シンガポールのウン・エンヘン国防相と哨戒機に乗り込み、周辺海域を視察した。

 南シナ海の領有権争いを巡っては、7月12日に中国の主権の主張を否定する仲裁裁判所の判決が出た。だが中国はその前後に南シナ海で大規模な演習を行うなど、判決を無視する姿勢を鮮明にしている。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は7月にラオスで開催したASEAN地域フォーラム(ARF)で問題の平和的解決を探ったものの解決の糸口は見えていない。軍備で劣る東南アジア諸国も軍拡で対応せざるを得ない。

 ストックホルム国際平和研究所によると、15年のアジア・オセアニア地域の国防費は14年比で5.4%伸びた。世界全体の伸び率の1%を大きく上回る。対中警戒を背景とするインドネシアやベトナム、フィリピンの防衛費増加が大きく影響した。16年以降も同地域の国防費の伸びが見込まれており、軍拡競争になる懸念もある。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です