東南アからマネー流出 リスク回避に傾斜 深刻化の懸念は薄く 2015/07/18 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「東南アからマネー流出 リスク回避に傾斜 深刻化の懸念は薄く」です。

この記事を背景に考えますと、東南アジア各国において、外国からの投資状況はその国の政治状況に大きく影響されているように見えます。これは日本についても同じことが言えるように思います。昨今の安保法制審議、並びに国立競技場の建て替え問題、こうした要素により内閣支持が低下しています。投資観点から、外国人投資家の動向に注意が必要です。





 【シンガポール=吉田渉】東南アジア新興国から投資資金の流出が目立ってきた。株式市場では外国人投資家らの売却が広がり、多くの国で通貨も下落基調だ。政治が混乱するマレーシアと「双子の赤字」を抱えるインドネシアの通貨は1990年代後半のアジア通貨危機のころと同じ水準に沈む。米利上げ方針、中国景気減速、ギリシャ危機などがきっかけだが、すぐに深刻な経済混乱につながりそうにはない。

マレーシアでは政治が動揺している(6日、クアラルンプール市内の株価ボード)=AP

 主要国の通貨は対米ドルでおおむね下落。なかでもマレーシアのリンギは足元で1ドル=3.8リンギ前後で、年初から8%以上低下した。7月上旬にはアジア通貨危機以来となる17年ぶりの安値をつけた。インドネシアのルピアもいまは1ドル=1万3300ルピア台と1998年8月以来の安値水準。タイのバーツ、フィリピンのペソも下落基調だ。

 主因は海外からの投資資金の流出だ。マレーシアの金融調査会社MIDFによると、外国人投資家は東南アジアの主要株式市場で4月末以降、売却額が購入額を上回る売り越しに転じた。4月27日~7月10日の外資系ファンドによる売越額はマレーシア市場で19億6千万ドル(約2400億円)だった。インドネシアが10億6千万ドル、タイは9億9千万ドルで、強い売り圧力にさらされた。

先進国に逆流

 東南アジアの株式市場には2014年から15年初めにかけて多額の資金が流れ込んだ。インドネシアやフィリピンなどで株価は過去最高を更新した。経済成長への期待が背景だった。ところが米国が年内にも利上げに踏み切る見通しになり、中国株の乱高下やギリシャ支援を巡る欧州の混乱をみた投資家がリスク回避の姿勢を強めた。マネーは新興国から米国などへと逆流し始めている。

 新興国ではファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の弱い国が売りの対象になる。投資家は世界的なカネ余りで軽視していたリスクに再び焦点を当てるようになった。

 東南アジアにおいてはマレーシアとインドネシアが格好の標的で、周辺国に影響が広がる構図になっている。マレーシアは政治の動揺が最大の懸念材料だ。1兆円を超す負債を抱える国営投資会社「1MDB」の経営責任を巡り、ナジブ首相とマハティール元首相が公然と非難合戦を繰り広げている。7月上旬には同社がナジブ氏に不透明な資金を提供したとの疑惑が浮上し、当局の特別チームが捜査を始めた。

 ナジブ政権が弱まれば「政府肝煎りのプロジェクトが遅れる」(日系金融機関)との観測も広がっている。主力商品の原油やパーム油の相場低迷でマレーシアの輸出は落ち込んでおり、政治の混乱が追い打ちをかける。

経済構造もろく

 インドネシアの最大の弱点は経済を支える構造の脆弱さだ。同国は経常収支と財政収支がともに赤字で、資金が流出しやすい体質といえる。2億5千万人という世界4位の人口が支える個人消費の伸びを期待してマネーが流れ込んだ。だが、輸出の主力である天然資源の価格下落で雇用環境が悪化し、所得の伸び悩みで自動二輪車の販売が低迷するなど消費に息切れの気配が広がっている。

 タイでは中央銀行が3月、4月の2カ月連続で政策金利を引き下げたことで通貨バーツが下落した。輸出競争力を高めるための当局による相場コントロールという側面が強い。しかし、思惑通りに輸出が回復しなければ通貨安は歯止めを失う。

 一方、こうした現状がアジア通貨危機のような事態に発展すると懸念する向きは少ない。東南アジア主要国は通貨危機を教訓に、当時の5倍を超える外貨準備を積み上げた。日本、中国、韓国も協力して東南アジアの現地通貨建ての債券市場を育成しており、企業の資金調達において、海外マネーへの依存度は以前よりも低下している。



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