株、2万円からの投資戦略 薄い割安感、資産分散を 2015/06/10 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「株、2万円からの投資戦略 薄い割安感、資産分散を」です。





 日経平均株価は2万円台を回復した後、上値が重い。企業業績の好調などを理由に先高期待の声がある一方、業績は織り込み済みで上値は限られるとの見方もある。ここから先、どんな姿勢で日本株投資に臨もうか。

 「割高ではないが、割安感はない」。多くの株式市場関係者は指摘する。年初からの日経平均の上昇率は15%。一段の円安進行などを背景に日経平均は2万円台で推移してきたが、割高でも割安でもないと言われると、ここから買っていいのか迷ってしまう。

 まずは今の日経平均の水準が業績との見合いでどう評価できるのか、割高・割安を示す代表的な指標である予想PER(株価収益率)を使ってみてみよう。

 グラフAの色つき部分は、過去の経験則などから株価が適正水準とされる、予想PERが14~16倍の範囲を示している。日経平均が色つき部分を上に抜ければ割高、下に抜ければ割安と判断する。足元では日経平均が上に突き抜けており、明らかに割安ではない。

 では割高か。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「予想PERの裏付けとなっている今期業績の会社予想は控えめ。業績予想の上振れを前提にすれば株価は適正水準」と主張する。

 2014年度と同様、今年度の企業業績も四半期の決算発表ごとに「上場企業の予想は上方修正される」との見方が強い。その結果、グラフの色つき部分が上方にシフトし、日経平均は再びその範囲内に収まるという。これが株価は割安ではないが、割高でもないという論拠だ。

 今の株価がほぼ適正水準というなら、今後は上にも下にも動きにくいのだろうか。マネックス証券の広木隆チーフストラテジストは「それは今後の業績次第」と主張する。

 そこで日経平均を1つの会社と見立てたときの業績予想とPERから、株価の先行きを予想してみよう。PERは株価を1株利益で割った値。式を分解してPERと予想1株利益を掛ければ、そのPERに相応の株価が導ける(表B)。

 

円安定着は好材料

 井出氏によると、上場企業の今期予想(9%の経常増益)に基づく日経平均の1株利益は現在1220円。これに対して15%程度の経常増益というアナリストの平均的予想をベースにすると、1株利益は1320円になる。この数値に適正PERの上限とされる16倍を掛けると、日経平均は2万1000円強になる。

 ただ、アナリストの予想も現段階では1ドル=115円程度が前提で、「足元の120円台が定着すれば20%程度の経常増益に上振れる可能性がある」(井出氏)。その場合の1株利益は1378円になり、PERが16倍なら株価は2万2000円となる。「順当なら年内の日経平均は2万1000円。業績が一段とよくなれば2万2000円」というのが井出氏の予想だ。

 では、下値はどうか。「割安になれば買いたい投資家は多く、大きな下げはない」という楽観論が今の市場の大勢だ。下がれば日銀などの買いが入るうえ、海外発のショックがあれば日銀の追加緩和への期待が高まりそう。市場では、日経平均で1万9000円程度を当面の下値メドとする見方が多い。

 下値は限られるとしても、業績見合いでみた年内の日経平均の上値メドが最大で2万2000円だとすると、足元の水準からの上げ余地は9%程度になる。今後の投資戦略は、前提とする投資の期間によっても変わりそうだ。

 「超低金利の環境下に半年で1割近い上昇が見込める投資対象は日本株以外に見当たらない。だから日本株は買い」と言うのはマネックス証券の広木氏。

 一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストは「個人投資家には、ここからはあまり無理をしないでとアドバイスしたい」と話す。上げ余地は限定的なので、中長期の投資なら追加資金の投入や上値追いは慎重に考えた方がいい、というわけだ。

 割安感が薄れているのは、日本の株価だけでなく、今の世界の金融・株式相場に共通していえる(グラフC)。例えば米国株(S&P500)の予想PERは18倍近く、ITバブルやリーマン危機の前後を除いた平時の平均(17.3倍)を上回る。世界の債券相場は足元では揺らいでいるが、それでも金利は依然として歴史的低水準(債券価格は高水準)だ。

 

「不安定さ増す」

 ここ数年は世界の中央銀行の強力な金融緩和政策で、あふれたマネーが株式や債券の価格を押し上げてきた。その結果、「世界の市場は不安定さを増している」(JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳氏)。

 今後も緩和マネーや世界景気の回復を原動力に資産価格は上昇を続けるかもしれず、投資をやめて利益を得る可能性を放棄してしまうのも得策ではなさそうだ。ただ、中長期の資産運用では、少なくとも日本株なら日本株だけというように、1つの資産にリスクを集中するのは避けた方がいい。

 「インフレ対応だけでなく、日本がデフレに逆戻りする可能性も考えて資産を分散するのが得策」(中窪文男UBS証券ウェルス・マネジメント本部最高投資責任者)。先のことは読めないからこそ、分散投資の意味がある。

(編集委員 北沢千秋)

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