検索サイトの犯罪歴削除、分かれる司法判断 2016/12/31 本日の日 本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の社会面にある「検索サイトの犯罪歴削除、分かれる司法判断」です。





 インターネット検索サイトに表示される犯罪歴の削除を求める訴えが相次いでいる。情報の公益性を重視して残すべきなのか、プライバシー侵害とみて削除すべきなのか。現状、司法判断は割れている。来年には最高裁が初判断を示す可能性があり、どんな基準が打ち出されるか注目される。

 「犯罪に対する公共の関心は薄まっていない」。10月、逮捕歴の表示を削除するよう検索サイト「グーグル」に求めた男性が東京地裁で敗訴した。判決は男性が振り込め詐欺の現金引き出し役グループのリーダー格だったことなどを理由に、削除を認めなかった。

 男性はすでに執行猶予期間を過ぎており、「新たな社会生活が破壊される」「10年前の犯罪で関心も薄れている」と主張。訴訟より先にあった仮処分の申し立てでは地裁が削除を命じており、同じ事例で地裁の判断が分かれる形となった。

 検索サイトの普及や検索機能の向上に伴い、過去の犯罪歴の削除を求める仮処分の申し立てや訴訟が近年、相次ぐ。

 犯罪歴をネットで簡単に調べられることの公益性や知る権利を重視すれば、削除を認めない判断となる。一方、表示される側のプライバシーや「更生を妨げられない利益」が優先されると考えれば検索サイトに削除を命じることになる。

 福岡地裁は10月、福岡県内の男性の主張を認め、グーグルに逮捕歴の削除を命じた。「犯罪情報は個人情報のなかでも最も繊細に扱うべきもので、知人に知られると円滑な人間関係の形成が困難になる」と結論づけた。

 最高裁は現在、上告された同様の訴訟を複数取り扱っている。公益性とプライバシーとのバランスや、犯罪への社会の関心が薄れる年月の経過について、最高裁が統一判断を示せば、今後の裁判などに大きな影響を与えそうだ。

 情報セキュリティ大学院大の湯浅墾道教授は2015年の改正個人情報保護法が犯罪歴を「要配慮個人情報」と定めたことを挙げ、「プライバシー保護を重視する流れがある」と指摘。「知る権利や表現の自由に深く関わる問題であり、表示される側の立場や犯罪の類型に応じて慎重に判断されるべきだ」と話している。



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