業績「市場予想」で株価読む 「会社予想」との差が材料 2015/06/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマネー&インベストメント面にある「業績「市場予想」で株価読む 「会社予想」との差が材料」です。





 株価を決める最大の要素は企業業績だ。しかも、過去の実績より将来の見通しが重視される。業績見通しには会社が自ら公表する数字だけでなく、証券会社や調査会社のアナリストが専門的な立場から分析・予想した数字などがある。直近の3月期決算発表ではアナリスト予想の平均値である「市場予想」をもとに株価が大きく動くケースも目立った。

 市場予想の代表が金融情報会社QUICKが算出する「QUICKコンセンサス」だ。5月末でコンセンサスがあるのは約1500社。社数ベースでは上場企業の約4割だが、時価総額でみると全体の9割強をカバーしている。証券各社が口座を持つ顧客向けに提供しているほか、投資情報誌の「日経会社情報」や日経電子版などでも確認できる。

 企業によっては、先々の下方修正リスクを避けるため予想が堅めになったり、逆に楽観的になったりする。一方、アナリストは企業の財務データや事業環境を分析し独自の視点で予想を立てる。コンセンサスをみれば市場が業績をどうみているかがおおむね分かる。大和住銀投信投資顧問の門司総一郎経済調査部部長は「会社の発表数字のよしあしを判断するためにもコンセンサスは欠かせない」と話す。

 会社予想と市場予想が大きく乖離(かいり)することも珍しくない。この乖離が大きいほど、株価の「サプライズ」になりやすい。NTTを例にみてみよう。5月15日に示した2016年3月期の連結純利益予想は前期比22%増の6300億円。直前のコンセンサス(5779億円)を上回る増益予想が好感され、翌営業日である18日の株価は約14年ぶりの高値を付けた。

 会社予想が市場予想を上回ったか下回ったかで株価が動くケースは多い。会社の業績予想が最高益見通しでも市場予想に達しなければ売り材料になることもある。

 5月11日に連結決算を発表したセコム。16年3月期の連結純利益が4年連続で過去最高になるとの見通しを発表したものの、翌日の株価は約1カ月ぶりの安値を付けた。会社側が示した純利益予想(802億円)が事前のコンセンサス(819億円)を下回り、失望売りが膨らんだ。

 上場企業のなかには業績予想を開示していない企業もある。市場予想はそうした企業の業績の目安になる。新日鉄住金の場合、16年3月期の業績予想を開示していないが、コンセンサスでは連結経常利益が4500億円強と前期比で微増にとどまる。国内の在庫が高止まりするなか、4~6月期に減産するなど楽観できる環境になく、慎重にみるアナリストが多い。

 コンセンサスは「市場の評価の変化をみるのに有効」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との声もある。コンセンサスはアナリストの見直しがあれば随時数字が更新されるが、その変化を追えば、勢いがあるのかないのかが分かるという。また通常、企業は1期分しか業績予想を出していないが、コンセンサスなら最長5期分までわかるので、企業の将来像を推し量ることもできる。

 注意が必要なのは予想するアナリストが1人の場合だ。1人だと見方が偏る場合があるからだ。市場で注目される企業ほどカバーするアナリストが多く、コンセンサスも市場の見方をより反映しているといえる。もちろん市場予想も万能ではない。企業を取り巻く環境は短期間で変わり、決算がコンセンサスの数字とかけ離れることはあり得る。投資指標など他の情報と組み合わせて使うことが賢い活用法だろう。

(井川遼)

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