横断運河や鉄道構想 タイ南部、にわかに脚光 巨額資金が実現阻む アジア投資銀、再浮上促す 2015/06/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「横断運河や鉄道構想 タイ南部、にわかに脚光 巨額資金が実現阻む アジア投資銀、再浮上促す」です。

マレー半島の首根っことも言えるクラ地峡、確かにここを東西で往来できるようにすれば、マラッカ海峡やシンガポール海域にまで船を運ばずに南シナ海に抜けられます。パナマ海域同様、この地域も地理的に各国の国家戦略を大きく揺るがすものになります。





 【北京=島田学】タイ南部が地政学上の要衝としてにわかに注目を浴びている。マラッカ海峡を迂回する新物流ルートとして、マレー半島を横断する運河や鉄道の建設構想が相次ぎ浮上した。現時点で実現可能性は不明だが、中国が主導する「シルクロード構想(一帯一路)」やアジアインフラ投資銀行(AIIB)が、東南アジアでのインフラ事業への関心を呼び起こしている面がある。

 ■東西100キロの地峡 話題の中心は首都バンコクから500キロメートルほど南にある「クラ地峡」。マレー半島のくびれた部分で、西側がインド洋につながるアンダマン海、東側は南シナ海に続くタイ湾に達する東西100キロメートルほどのところだ。

 5月中旬、中国とタイの企業がクラ地峡で運河建設に向けた調査の実施に合意したとの情報が飛び交った。全長102キロメートル、幅400メートル、水深25メートルの運河を10年がかりで建設する構想だという。

 ただ企業の背景は不明なうえ、中国企業の担当者は日本経済新聞の取材に「具体的な合意内容は国家機密。詳細は言えない」と言ったまま、連絡がつかなくなった。「政府が参加すると聞いたことはない」(中国外務省)、「そんなばかげた計画はない」(タイのプラユット暫定首相)と両国政府も関与を否定した。

 一方、タイの英字紙ネーションは6月上旬、韓国政府が同地峡を横断する総延長57キロメートルの鉄道建設を提唱したと伝えた。8月に韓国鉄道技術研究院とタイの大学が研究開発協力に関する覚書を交わす見通しという。

 ■華人社会の合意必要 クラ地峡に運河などを作る計画は17世紀ごろから浮かんでは消えてきた。かつてのタクシン政権時代には巨大な陸橋の建設構想も語られた。それらが実現しないのは巨額の資金が必要なだけでなく、東南アジア経済で存在感の大きい華人財界の内部の利害の衝突が大きい、と関係者は明かす。

 マラッカ海峡の横断ルートができれば物流の要衝となるタイには利点がある半面、マラッカ海峡を迂回されて存在感が低下すると懸念するシンガポールは黙っていない。「域内の華人社会がまとまらない限り、構想は実現しない」(関係者)

 ただ中国はマラッカ海峡を通らないエネルギー輸入ルートとして、ミャンマー経由でインド洋につながる石油・天然ガスのパイプラインを建設。中米ニカラグアでも、米国の影響力の強いパナマ運河に対抗する運河の建設を計画している。

 AIIBや「シルクロード基金」を通じてアジアのインフラ整備を主導しようとしていることが、時に荒唐無稽とも思われるプロジェクトが浮上する背景となっている。

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