民泊新時代 競争多様に 2018/06/16 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「民泊新時代 競争多様に」です。





民泊を本格解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)が15日施行され、届け出が受理された施設の営業が始まった。ただ年180日の上限などの規制や手続きの煩雑さから届け出が低迷。日数制限のない運営方法での申請も増える。シェア経済の代表格として訪日客の受け皿や空き家活用の役割が期待される民泊は課題を抱えたまま始動した。

(画像:タブレットで顔を映し、パスポートの情報と照合(15日、福岡市))

福岡市中心部の賃貸マンションの1室。新法の届け出が受理されたばかりの民泊施設に、友人と来日した韓国人のパク・リュンさん(24)が15日夕、チェックインした。

スマートフォンに届いた番号で電子錠を開けて入室した。室内のタブレットでオペレーターとビデオ通話をしながら顔を映し、パスポートの情報と照合。本人確認を済ませた。新法は対面かIT(情報技術)での本人確認と、宿泊者名簿の管理を義務づけている。

民泊市場に参入した企業のサービスも始動した。参入組は国内ほぼ全ての民泊をサイトで仲介してきた米エアビーアンドビーとは異なる新サービスを用意する。KDDI子会社のロコパートナーズ(東京・港)はサイト「バケーションホーム」で民泊選びを助けるサービスを開始。電話やネットで条件を伝えるとコンシェルジュが紹介。予約もする。

農家民泊が多い百戦錬磨(仙台市)のサイトの掲載施設は約2千ある。家主に電子錠やネット接続サービスも提供する。

楽天の民泊事業子会社の楽天ライフルステイ(東京・千代田)は民泊仲介サイト「バケーションステイ」を稼働した。予約可能施設は現時点で724室。届け出の受理を待つ施設も含めれば約1600室が登録済みだ。

だが自治体による新法への上乗せ規制の影響もあり届け出は8日時点で2707件と少ない。受理も1134件と遅れており、15日に客を迎えた施設はごく一部だ。

政府は民泊新法で新たな宿泊形態を整え、2020年東京五輪・パラリンピックの開催時に予想される宿泊施設の不足解消や、地方での訪日客の受け入れ増を見込んでいた。だが民泊新法を避ける動きが出てきた。

足元で増えているのが旅館業法の「簡易宿所」の許可や、国家戦略特区の認定を持つ民泊だ。いずれも住居専用地域では基本的に営めないが、営業日数の上限がない。収益性を重視する企業が選ぶ傾向が強まっている。

京都市の簡易宿所の許可施設は3月末に2291件と2年前の3.3倍だ。3~5月にかけても100件以上増えた。簡易宿所はカプセルホテルなども含むが、民泊も目立つという。

国家戦略特区の大阪市の認定施設は3月に1683室と1年前の18倍に急増している。

一方、民泊新法は住居専用地域でも営業できるが、自治体が条例で禁じる例が多い。180日を超えた分は賃貸する方法もあるが、手続きの煩雑さもあり伸び悩む。無許可民泊の淘汰などの課題も多い。

民泊新法は日本におけるシェア経済の推進役とされるが、背を向ける家主が増えれば市場の広がりに水を差しかねない。届け出を支援をする企業もあるが、複数の運営法が並立するわかりにくさを解消し、窓口を一本化しなければ限界がある。

過度な上乗せ規制の緩和を求めて家主が結束する動きもある。民泊利用者の視点に立った制度やサービスを官民でつくることが不可欠だ。



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