民泊解禁 試練の船出(下)田舎の宝、掘り起こす 2018/06/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「民泊解禁 試練の船出(下)田舎の宝、掘り起こす」です。





鹿児島県の奄美大島。約30人の住民らが集まった。「新法の届け出を全力でサポートします」。民泊事業を手がける百戦錬磨(仙台市)で開業支援を担う鞍掛斉也部長が自社の仲介サイトの特長を紹介した。

(画像:収穫した作物の調理を体験する訪日客ら)

「私にもできるかもしれない」。説明を聞いた住民の一人は早速、鞍掛氏に自宅を見てもらった。民泊に関心があっても、運営となると尻込みする個人や事業者は多い。悩める担い手の支援に企業が動き始めた。

百戦錬磨が照準を合わせるのは、日本の原風景が広がる農山漁村の古民家。上山康博社長は「特徴ある施設と貸し手を掘り起こしたい」と話し、農業や郷土料理づくりなどの体験プランを提供できる家主も探す。

新法に基づく営業の届け出が伸び悩む中、ルールを守った魅力的な施設の確保は仲介サイト各社にとって死活問題でもある。日本各地に埋もれた潜在的な民泊の「宝」を発掘し、運営を支援していくことが民泊市場を育むことにつながる。

民泊運営で生じる日々の清掃からシーツ交換までのさまざまな業務。そこに商機を見いだすのは、楽天子会社の楽天ライフルステイ(東京・千代田)だ。新法では家主が同居しない民泊は、国に登録した管理業者に管理を委託する必要がある。

「ぜひ支援をお願いしたい」。楽天ライフルが都内で開くセミナーは熱気にあふれる。関心が高いのが楽天ブランドを貸し、楽天カラーの赤や白のアメニティや内装をそろえる運用代行サービス。個人や中小企業から数千件の問い合わせが殺到した。

民泊新法は、無許可施設で十分ではなかった本人確認を義務付けた。スクイーズ(東京・港)と楽天コミュニケーションズは、宿泊者がタブレットに顔とパスポートを映すと、本人確認を代行するシステムを開発。番号で開ける電子錠や、騒音を検知すると知らせるセンサーも提供し、家主が民泊運営に抱く不安を取り除く。

東京や大阪に集中している民泊は今後、農山村など地方でも増える見通し。全日本空輸と格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションは米エアビーアンドビーと連携。航空券と民泊を一緒に利用できるよう紹介し古民家など特徴がある地方の施設を紹介する。

訪日客の1割強が使うまでになった民泊をホテルや旅館は警戒する。「厳しい規制を守っている我々に比べ、民泊の多くは好き勝手に運営されてきた」「衛生面や安全面も不安だ」。今月上旬、都内であった旅館経営者の会合では、民泊に否定的な意見が目立った。

一方で「我々も民泊に対抗できる商品をつくるなど変わらないといけない。今回はそのための契機だ」と冷静に受け止める経営者もいた。民泊解禁は宿泊業界にサービスの革新も迫っている。

政府は2020年に訪日客を4000万人にする目標を掲げる。受け皿として欠かせない民泊は混乱混じりに船出する。民が主導し、訪日客や国内消費者のニーズに寄り添ったサービスを創り出していく必要がある。

 大林広樹、志賀優一が担当しました。



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