決算 深読み 信越化、市場に募る不満 好業績なのに還元には慎重 低いROEの改善期待 2016/07/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「決算 深読み 信越化、市場に募る不満 好業績なのに還元には慎重 低いROEの改善期待」です。





 信越化学工業が株主還元に慎重姿勢を続けている。26日、2017年3月期の配当予想を110円と前期実績から据え置くと発表したが、この水準に市場は物足りなさを感じている。余剰資金が積み上がっているため、自己資本利益率(ROE)は7%前後で停滞している。業績の安定感は抜群だが、市場はもろ手を挙げて評価できずにいる。

 「中長期の成長投資の道筋を示すか、それができなければ株主還元に資金を振り向けるべきだ」。みずほ証券の山田幹也シニアアナリストはこう指摘する。

 信越化学は15年3月期まで7年連続で100円の年間配当を実施し、16年3月期は110円に引き上げた。配当を積み増す姿勢に転換したかと見えただけに、今回の4~6月期決算で「大幅増配発表ならサプライズ」(国内証券)といわれていた。自社株買いはほとんど実施していない。

 財務体質は良好だ。6月末の現預金と短期有価証券を合わせた、手元流動性は8319億円。株主資本の4割にあたる。売上高純利益率が17年3月期予想で14%に上るにもかかわらず、ROEがさえない原因だ。設備投資は年間800億~1300億円程度で、手元資金は増え続けている。

 業績は好調だ。4~6月期決算は売上高が前年同期比4%減の3007億円、純利益が20%増の453億円だった。塩ビ事業は増産投資の効果により販売数量が増加。半導体ウエハー事業は高付加価値品を中心に需要が伸び、採算が改善した。

 26日は17年3月期通期見通しも公表した。売上高は前期比8%減の1兆1800億円、純利益は7%増の1600億円を見込む。7月以降の想定為替レートは1ドル=100円で設定した。円高が懸念材料だが、主力事業は順調に推移しそうだ。

 資金をためこむ裏には経済や市況が変動しても、成長の原動力となる大型投資を機動的に自己資金で実施したい、との意向や、減配回避への強い思いがある。ただ6月に就任した斉藤恭彦社長は26日のアナリストとの電話会議で「増益に向けてまず努力する。その中で配当についても考えていく」と話すなど、市場との距離を縮めようとしているようにも見える。

 アナリストらは「信越化学ならROEで2ケタはほしい」と口をそろえる。株価は14年12月の8529円から3割安い水準だ。期待にどこまでこたえるのか、市場はここを注目している。



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