消費は語る 現場からの警告(下)希望や安心つくれるか 消費再点火、改革カギ 2016/08/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「消費は語る 現場からの警告(下)希望や安心つくれるか 消費再点火、改革カギ」です。





 アベノミクスの3年間で大きく変わった風景がある。育児期の女性の4人に3人が働き、共働きが当たり前になりつつあることだ。2015年の25~34歳の女性に占める働く人の割合は75%を超えて3年間で2.4ポイント上昇した。

 働く女性の増加は新たなビジネスチャンスを生む。紳士服の青山商事は女性向け専門店の出店を始めた。「女性管理職の増加などでスーツの需要も伸びる」と見たからだ。

 女性も働くことで世帯としての懐は温かくなってもおかしくない。家計調査では15年の世帯主の配偶者の収入は前年より7.1%増えた。女性の社会進出で新たな消費が生まれ、関連産業が潤うはずだが、ここにも節約志向が影を落とす。

 青山商事のスーツの平均単価は3万8千円程度。百貨店などのブランド品に比べれば安い。10分間1千円で成長したヘアカット専門店のキュービーネット(東京・渋谷)は若い女性らを狙った新型店を展開するが、料金はスタイリングを含めても2千円だ。

 8日の政府の経済財政諮問会議では民間議員の伊藤元重・学習院大教授が「日本経済は五右衛門風呂だ」と指摘した。風呂釜にあたる労働市場は熱くなっているのに、水である個人消費は少しぬるいと例えた。

 時計の針を日銀の異次元緩和が始まった3年前に戻す。今も続く金融政策は「期待」に働きかける政策だ。みんながインフレになると思えば眠っていたマネーが動き出し、最終的には消費が増えるとの理屈だ。

 日銀によると13年6月調査で「1年後に物価が上がる」と答えた人は全体の80.2%もいた。株価も上がり高額消費は好調。円安が進んだ割には海外旅行も堅調だった。期待で消費が動き始めたのは事実だ。ところが、今年6月調査では物価上昇を予測する割合は72.4%に低下した。

 「デフレからの脱出速度を最大限まで引き上げる」。安倍晋三首相は28兆円超の経済対策をまとめ、日銀も追加金融緩和で呼応した。財政政策と金融政策の協調でしぼんだ期待の復活を探るが消費に響くか。

 都内のメーカーで働く田中昂義さん(25)は「賃上げは続くのか、年金はもらえるのか、銀行の金利は低くて利子は付かないし、先行き不安はつきない」と話す。スーパーのチラシで丹念に安いモノを探し、コツコツと節約する。

 経済学者のなかには構造改革はデフレ圧力になるとの考え方がある。だが、雇用や社会保障の改革を先送りすれば、将来不安が残りデフレ圧力がくすぶる。それを示したのがアベノミクスの3年間だった。やはり、希望や安心をつくる構造改革こそが消費再点火のカギとなる。現場はそう語っているように見える。

 早川麗、藤川衛、江口良輔、三島大地が担当しました。



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