消費は語る 現場からの警告(中)ちらつくデフレ循環 円高と節約志向「共振」 2016/08/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「消費は語る 現場からの警告(中)ちらつくデフレ循環 円高と節約志向「共振」」です。





 九州発の“価格破壊”が全国に広がろうとしている。

100円ショップなど低価格が特徴の店が注目されている

福岡市のコスモス薬品東光寺店

 福岡市に本社を置くコスモス薬品。2016年5月期の連結売上高は10%増の4472億円で、8期連続の最高益となった。昨年には中部地区に初めて出店し、首都圏への進出も視野に入れる。

 8月中旬、同社の店舗には1個88円のカップラーメンや低価格の洗剤などが山積みになっていた。医薬品で稼いだ利益などで食品や日用品を安く売る戦略で、近隣スーパーより1~2割安い。「消費者の節約志向が追い風」。柴田太取締役は自信を見せる。

 全国の小売店の販売データを集計する日経POS(販売時点情報管理)で食品と日用品の主要80品目の今春の平均税別価格を調べたところ、4割超が前年より下がった。約6割が値上がりしていた昨春とは様変わりだ。

 宮崎県延岡市の主婦(31)は最近「ファッションセンターしまむら」をよく訪れる。Tシャツ1枚500円など安さが売りの衣料品チェーンだ。かつては百貨店で買っていた自分の服も今ではしまむらで選ぶ。「母親仲間では『いつもぎりぎりだね』と話している。年金もきちんと出るかわからないし、蓄えを増やしたい」。しまむらは17年2月期に最高益を見込む。

 値上げから値下げへ。なだれを打つかのような安さの氾濫の裏には円高がある。現在の為替相場は1ドル=100円前後と年初より20円近い円高。第一生命経済研究所の試算によると、20円の円高で小売業とサービス業の売上高経常利益率は0.3ポイント改善し、値下げ余力につながる。

 靴専門店のエービーシー・マートは今秋以降、従来より2割程度安い商品を増やす。円高による仕入れコスト下落をテコに地方を中心に低価格戦略を打ち出す。「消費者は価格に敏感になっており、単価を上げる状況ではない」。小島穣取締役の言葉には円高で生じた値下げ余力と消費者の節約志向が共振し、デフレ懸念が強まる現状がにじむ。

 とはいえ、現状は08年のリーマン・ショック後の景気後退局面で目立った闇雲な値下げ競争とは一線を画す。吉野家は円安や原材料高で、14年12月に牛丼の並盛りを80円値上げして380円とした。その後の深刻な客離れを受けて、今年4月には牛丼より50円安い豚丼を4年ぶりに復活させたが、牛丼の価格は据え置いた。節約志向を取り込みながら、収益力も維持しようという狙いが見える。

 生活者にとって値下げは良いニュースだ。多くの経営者はかつての値下げ競争の苦い記憶を忘れてはいないが、客足が遠のいては元も子もないとも考える。脱デフレで収益が向上した企業が賃金を増やして消費拡大につなげるという好循環が逆回転する危うさをはらみながら、消費の現場は急速に変わろうとしている。



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