消費変貌(2) 一億総「商人」時代 CtoC「持つより使う 」 2018/3/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「消費変貌(2) 一億総「商人」時代 CtoC「持つより使う」」です。





 「あまり着ないかもしれないけど、この値段で売れるなら買った方がいい」。都内の会社員、黒井美紀(28)が新品の洋服を買う時に見るのが中古相場だ。

 フリーマーケットアプリ「メルカリ」で、一度着ただけの2万円のワンピースを1万2千円で売った。実質8千円で買ったことになり「フリマアプリのおかげで気軽に買える」。

■売ることが前提

 千葉県の主婦(40)も1月、不用になったバッグや子供服をメルカリで売り約8万円を得た。いまは別のアプリで海外ブランドの財布を探す。中古商品の掲載数が最も多いのが仏ルイヴィトン。価格も下がりにくいとされる。「エルメスもいいけれど、また売ることを考えるとルイヴィトンが無難かな」

スマホでフリマアプリ「メルカリ」を頻繁に利用する黒井さん

 ワンショットファッション――。アパレル業界ではこんな言葉がささやかれる。交流サイト(SNS)に投稿するために一度だけ着用し、すぐに洋服を手放す若者も目立つ。伊藤忠ファッションシステム(東京・港)で世代文化を研究する中村ゆいは「所有への執着は少なく、売ることを前提とした買い物が定着してきた」と分析する。

 消費者が消費者と直接取引する「CtoC」が消費のカタチを変える。スマートフォン(スマホ)によってネットでの売買が容易になり、誰もが消費者でありながら販売者にもなる。

 商品の残存価格はネットで瞬時に決まり、購入時と販売時の差額が実質的な価格となる。複数の人が所有と転売を繰り返すリレー消費は新しい形の共同購入だ。CtoCの国内市場は2017年に8千億円規模に拡大したとみられる。

 シェアリングエコノミーも消費を変える。

 「車の維持費はほぼまかなえる」。川崎市に住む唐沢仁(28)は高級車のジープチェロキーを中古で購入。さらに個人間カーシェアリングサービス「エニカ」で1回当たり6800円で貸し出している。

 エニカで貸し出しの多い上位車種にはBMWやポルシェといった高級車が並ぶ。個人では所有が難しい高級車もシェアでは安く楽しめる。エニカの会員数はサービス開始から2年で9万人を超えた。

 カーシェアの国内会員数は17年に初めて100万人を突破し、この5年で6倍になった。必要な時だけ使う。そんな手法が広がり続ければ、自動車保有台数そのものは頭打ち感が一段と強まる可能性がある。

■スキルもシェア

 モノだけではない。「店のオリジナル曲を作ります」「企画書の書き方を指南します」。個人のスキルや経験をネットで売買する「スキル系CtoC」と呼ぶ新サービスも広がる。

 PwCの調査によると、シェアエコノミーの世界市場は25年までに3350億ドル(約35兆円)と13年に比べ22倍になる。国内総生産(GDP)に反映されない新しい経済圏が膨らむ。政府の統計改革推進会議はシェアエコノミーのGDP取り込みを検討中だ。

 所有からシェアへ。消費の「量」は減るかもしれないが、消費者の質や豊かさは高まる。1人あたりの金銭的な負担は減り、新品や高額品にも手が届きやすくなる。その分、企業はブランドイメージなど自社の商品の付加価値をどれだけ高められるかが勝負になる。安さを競うだけでは生き残れない。(敬称略)



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