漂流G7、ネット戦の裏側 2018/06/17 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「漂流G7、ネット戦の裏側」です。





8~9日にカナダで開いた主要7カ国(G7)首脳会議(シャルルボワ・サミット)。各国は会議の写真をネットで公開し、自国首脳の活躍を示す宣伝戦を展開した。首脳の表情や会議の雰囲気をうかがえるが、具体的に何を話しているのか、肝となる説明はほとんどない。実は激しいやり取りの応酬があった。

(画像:ドイツ連邦政府提供・AP)

世界に最も拡散されたのは、ドイツ政府が配信した写真だろう。9日午前、メルケル独首相がトランプ米大統領を説得する姿が写る。安倍晋三首相の同行筋によると、この場で話したのはイラン問題だった。

(画像:首相官邸のフェイスブックから)

トランプ氏は首脳宣言にイランが「テロ支援国家」であると明記するよう求めた。しかしメルケル氏は認められないと説いた。イランとの良い関係を保ちたい首相も困った様子だ。最後は「イランが支援するものを含む、全てのテロリズムへの財政的支援を非難する」との表現で折り合った。

日本政府が首相官邸のフェイスブックに載せた写真は、安倍首相が米欧の橋渡し役を果たす構図だ。首相周辺はプラスチックごみを話した場面だと解説する。

欧州とカナダは海洋汚染の原因になるプラスチックごみをG7で減らそうと呼びかけた。トランプ氏はプラスチックは産業に必要だとして反対。安倍首相は対策は必要としたうえで「G7だけで解決できない。来年、日本で開く20カ国・地域(G20)首脳会議でこの問題に取り組みたい」と訴えた。孤立を避けたトランプ氏は「シンゾーと同じだ」と喜んだ。

懸案の貿易でもトランプ氏と欧州は対立した。欧州は世界貿易機関(WTO)ルールの重視にこだわった。「シンゾーの意見に従う。後はまとめてくれ」。トランプ氏が折れると、安倍首相は「ルールに基づく」が入った文言を提案。首脳宣言に「ルールに基づく国際的貿易体制の極めて重要な役割を強調する」と書くことになった。

問題は「ルールに基づく国際的貿易体制」に付ける冠詞を「the」にするか「a」にするかだった。原案は「the」で、WTOルールを念頭に置く欧州の意向に沿う。同席したクドロー米国家経済会議(NEC)委員長が「『a』でどうか」と提起。「a」ならWTOルールと特定されず、広い意味と解釈される。最後は「a」で決着した。

写真の裏には、共通の利益や価値でまとまれないG7の漂流と、シンゾー・ドナルドの絆があった。

写真で安倍首相の左側に立つ西村康稔官房副長官もツイッター外交に参戦した。「日本よりドイツの方が早かった。ネット時代はスピードが勝負。もちろん会議で話す中身も重要だ」と語る。デジタル時代で外交も変わる。交渉の中身とネット戦の両面作戦が要る。

(政治部次長 佐藤賢)



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