点検世界のカジノ(下) シンガポール、海外から観光客急増 フィリピン、資金洗浄に利用疑いも 2016/12/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「点検世界のカジノ(下) シンガポール、海外から観光客急増 フィリピン、資金洗浄に利用疑いも」です。





 日本に先行して2010年前後にカジノを解禁したアジアの各国が、カジノとの共存を巡り手探りを続けている。

フィリピンでは、華僑や中国人観光客の姿が目立つ=AP

 シンガポールでは10年に2カ所が開業した。香港など観光都市との競争激化が背景にあった。政府は資金洗浄などへの悪用を警戒しカジノ規制庁長官に警察出身者を採用。賭博のイメージを和らげるためホテルや商業施設・会議場を備えた「統合型リゾート(IR)」の呼称にこだわった。

 経済効果は大きい。09年に128億シンガポールドル(約1兆円)だった同国のインバウンド市場は15年には7割増の218億シンガポールドルに伸び、海外からの年間訪問者数は同じ期間に970万人から1520万人に増えた。同国通産省によるとIR事業は国内総生産(GDP)の1.5~2%を占め、2万人以上の雇用を生み出した。

 15年は中国景気の減速で失速したが、長期的には外国人客を引き付ける観光施設になっている。

 政府は新規開設の「予定はまだない」(リー・イーシャン元通産担当上級国務相)と消極的だ。ギャンブル依存症対策で、国民・永住者には1日100シンガポールドル(約8000円)のカジノ入場料を課す。経済面でのプラスと社会への悪影響のバランスに神経をとがらせる。

 巨大なIR開発を進めるのがフィリピンだ。マニラ湾岸に4施設を設ける計画で、年明けには3つ目が開業する。16年1~9月のカジノ市場の規模は前年同期比19.8%増の997億ペソ(約2400億円)だった。

 目立つのは経済力がある華僑や中国人観光客だ。11月に大手ブルームベリー・リゾーツのカジノを訪れた中国人客数は前年同月比2.4倍に増加。同社幹部はドゥテルテ大統領の訪中後、両国関係が改善していることが影響しているとみる。

 課題もある。バングラデシュ銀行(中央銀行)が2月にハッキング被害に遭った事件では、不正に送金された8100万ドル(約96億円)の一部がフィリピンのカジノで資金洗浄された疑いが浮上。米国務省は報告書で「中国などの犯罪組織が麻薬取引や資金洗浄に利用している」と指摘した。

 ベトナムでは7カ所のカジノの利用は外国人だけ。今後特区を設け大型施設を造る計画で、外国人観光客の3割を占める中国人を中心に集客増を期待する。ただ一定の財力がある自国民にも解禁すべきだとの議論も出てきた。カンボジアの首都プノンペンには00年前後に巨大カジノが開業し、ベトナム人が大挙して押し寄せているためだ。

 韓国では17あるカジノの総売上高は15年が約2兆8000億ウォン(約2800億円)と、5年間で24%増えた。韓国人が使えるカジノは1つだけだが、売り上げ、利用者数とも全体の半分以上。来年は日本のセガサミーホールディングスが韓国のカジノ大手と共同で仁川に開業を計画する。

 調査会社グローバル・ベッティング・アンド・ゲーミング・コンサルタンツのロリエン・ピリング氏は「アジアのカジノ需要は高く供給が追いついていない状態で、今後も市場は拡大する」とみている。

(マニラ=遠藤淳、ハノイ=富山篤、ソウル=山田健一)



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