異次元緩和 ゆがむ市場(下)広がるマイナス金利 2015/10/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「異次元緩和 ゆがむ市場(下)広がるマイナス金利」です。





 夢にまで見たマイホーム。その一歩を踏み出す際に欠かせないのが住宅ローンだ。固定金利か、それとも変動金利にするか。購入者の悩みは尽きないが、ポルトガルなど一部の欧州諸国には夢のようなローンがある。借りた分だけ金利を払うのではなく、逆に受け取れるマイナス金利だ。

借りるほど得に

 異常な状況を生み出したのは、政策金利をマイナスの領域まで下げる欧州中央銀行(ECB)やスイス国立銀行(中央銀行)が採用する異例の金融緩和だ。ECBのドラギ総裁は22日の記者会見で「12月の理事会で緩和度合いを精査する必要がある」と発言。次回の追加緩和を示唆した形で、マイナス金利が一段と強まる可能性もある。

 もっとも異例のマイナス金利は欧州に限ったものではない。日本でも一部の取引でマイナス金利がじわり浸透し、資金の借り手が金利分のお金を受け取れる異常な現象が広がっている。

 原因は異次元緩和だ。日銀は年80兆円ペースで国債を買い増しており、日本でも期間1年未満の金利を中心にマイナス金利が定着。償還まで6カ月の短期国債の流通利回りはマイナス0.1%台を付けることもある。

 それでも日銀はマイナス金利でも短期国債を金融機関から買う「コスト無視の爆買い」(幹部)をやめず、マイナス金利を事実上容認している。さらに追加緩和を強めれば、消費者に関わる取引にマイナス金利が広がる可能性もある。

 超低金利が長引くなかで、市場では奇妙な現象が起きている。円資産の運用に悩む金融機関が日銀の当座預金を使って金利を稼いでいるのだ。金融機関が日銀に開く当座預金には年0.1%という高めの金利(付利)が付く。日銀が市場金利が消滅しないように付利を設けたことで、皮肉にも異次元緩和を進める日銀の当座預金口座が1番人気の運用先になるという構図になっている。

 マイナス金利はお金を借りて積極的に事業を拡大したい企業にとって大きなメリットになる。ただ異次元緩和で市場にお金があふれ返っていることから構造不況業種でもお金を低金利で借りやすくなり、有望な投資先にお金を集中させて経済効率を高めるという金利本来の機能をまひさせている面も否めない。

タンス預金増加

 消費者にとってはどうか。世の中に出回るお札の総額は9月末で前年同月比5.9%増の91兆円強に上り、増加ペースが加速している。円安・株高の好循環が一服した途端、超低金利の預金口座にお金を預けるよりも、タンス預金に置いておいた方がましだと考える家計が増え始めたことを映している格好だ。

 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「異次元緩和は2年の短期決戦で設計した政策。緩和長期化がマイナス金利という市場のゆがみにつながった」と指摘する。異次元緩和が長引くほど企業のモラルハザードを助長し、消費者はタンス預金に走る。2年での目標達成という目算が外れ、異次元緩和の負の側面がより鮮明に浮き出ている。



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