真相深層 「デフレ勝ち組」窮地 アベノミクスが迫る再編 2013/12/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「真相深層 「デフレ勝ち組」窮地 アベノミクスが迫る再編」です。





 「デフレの勝ち組」とされてきた回転ずし業界で大手同士による初めての再編が動き出した。業界2位のカッパ・クリエイトホールディングス(HD)が生き残りをかけ、5位の元気寿司と業務提携。2014年度中の経営統合を目指す。窮地に陥った外食チェーンの背景を探ると、景気回復をけん引する「アベノミクス」に足をすくわれた現状が浮かび上がる。

■円安でコスト増

 カッパHDの「かっぱ寿司」は「1皿100円」で先行し、より安い魚介類を求める海外調達網を内戦の続くシリアにも拡大。「平日1皿88円」などの低価格を打ち出し、09年までは業界首位を堅持してきた。

 最初のつまずきは低価格へのこだわりが商品の質の低下を招いたことだ。客足が鈍化し、ここ数年は既存店の不振が続いていた。すしネタの海外調達比率は現在、業界では飛び抜けて高い7割超。アベノミクスに伴う円安を受け、12年11月以降は食材コストが1割以上膨らみ、1皿5円程度とされる利益は吹き飛んだ。12年度の連結最終損益は7年ぶりの赤字に転落。13年度も赤字が続く見通しだ。

 回転ずしの国内の店舗数は約4000店。市場は飽和に近づきつつあり、業界首位のあきんどスシローや3位のくらコーポレーションも客足は鈍っている。円安による原料高は各社共通の課題。ファンド傘下にあるスシローの動向を含め、再編の火種はくすぶる。

 円安が誤算となったのは吉野家ホールディングスも同じ。牛丼に使う牛肉を全量、米国から輸入する吉野家HDは2月の輸入規制の緩和を受け、「10年に1度の勝負」(安部修仁会長)に打って出た。

 4月に牛丼の並盛りを1杯280円と100円値下げ。集客底上げによる収益回復を目指したものの、想定外の円安に直面。仕入れコストの高止まりは続く。値下げした牛丼は売れたにもかかわらず、原価率が4%上昇。13年3~8月期の国内牛丼事業の部門営業利益は前年同期比72%減の約4億円に低迷した。

 12年12月期に営業減益となった日本マクドナルドホールディングスもアベノミクスの逆風にあえぐ。

 マクドナルドの躍進を支えてきたのは05年から始めた「100円マック」。チーズバーガーなどを100円で販売し、消費者の支持を集めた。一方ではこの10年で計6回の価格改定を実施し、メニュー全体では2割以上も値上げ。安さを前面に打ち出す集客策の裏側で定番メニューや限定商品でしっかり稼ぐ仕組みだ。

 11年12月期まで8期連続の既存店増収、6期連続の営業増益を達成したマクドナルドの両面戦略も景気回復の期待感が高まるとともに効力は失われている。

■コンビニと競合

 背景にあるのはアベノミクスを受けた消費者の志向の変化だ。外食市場を見渡すと、好調なのはファミリーレストランなど客単価の高い業種のみ。25日に日本フードサービス協会が発表した11月のファミレスの全店売上高は前年同月比6.4%増という高い伸びを示した。「デニーズ」や「ロイヤルホスト」では1皿2000円を超えるステーキが人気。消費者は少しぜいたくな「ちょい高」のディナーに流れている。

 マクドナルドも1個1000円の高級バーガーの限定販売などで対抗するものの、客離れが続く。11月の既存店客数は14.4%減と10年ぶりのマイナス幅となり、13年12月期は2期連続の最終減益が確実だ。

 アベノミクスで足元が揺らぐ外食チェーンにとっては過去最高水準の新規出店を続けるコンビニエンスストアも大きな脅威となっている。米コンサルティング会社のアリックスパートナーズによると、12年の日本国内のレストラン市場は約12兆円。15年間で7%、約1兆円縮小した。この間、弁当や総菜など「中食」の市場は約3兆6000億円から約5兆9000億円に60%以上も拡大している。

 コンビニの10~12年の平均成長率は年8%。アリックスの深沢政彦・日本共同代表は「コンビニがこれほどまでに食機会を提供する国はほかにない」と指摘する。再浮上を目指す「デフレの勝ち組」はコンビニとの厳しい競合にも直面している。(横山雄太郎)



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