真相深層 ロシア、欧米選挙で暗躍? 情報工作など深まる 疑惑 次は仏大統領選、極右を支援 2017/4/21 本日の日本経済新 聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「真相深層 ロシア、欧米選挙で暗躍? 情報工作など深まる疑惑 次は仏大統領選、極右を支援」です。





 ロシアが欧米に対し、サイバー攻撃や情報工作を仕掛けている疑いが強まっている。2016年の米大統領選への介入ではトランプ陣営幹部と共謀した疑惑が深まり、米連邦捜査局(FBI)の捜査が進む。プーチン政権は欧州各国の選挙にも照準を合わせている。

ロシアはポピュリズム政党と関係を深める(3月、仏大統領選の極右候補のルペン氏〈左〉と会談するプーチン大統領)=ロイター

 議会選の当日、親ロシア派の野党が扇動するデモ隊に警官を装った工作員が発砲、混乱を引き起こして議会を占拠し、首相を暗殺する――。

 バルカン半島の小国モンテネグロの昨年10月の選挙を巡り、こんなクーデター未遂疑惑が浮上した。同国の検事当局は13日、ロシア人2人と野党幹部を含む14人の容疑者の告訴を発表した。

 事件を担当するカトニッチ特別検事は「ロシアの国家機関が関与した」と明言。15年末に承認されたモンテネグロの北大西洋条約機構(NATO)加盟を阻止するロシアの狙いを指摘している。

対ロ警戒相次ぐ

 欧州各国の情報機関は対ロ警戒を発している。「冷戦時代さながらのロシアの工作活動に拍車がかかっている」。オランダ情報機関(AIVD)は年次報告でサイバー攻撃やプロパガンダ(宣伝)、工作員の活動を指摘した。3月の同国議会選でも事実と反する偽情報が拡散されたという。「ロシアは欧米の自由社会を食い物にし、影響力拡大を画策している」

 23日に大統領選の投票を迎えるフランス。中道系の独立候補、マクロン氏の陣営はロシア発のサイバー攻撃や偽情報の標的になっていると発表した。ロシア大統領府(クレムリン)は14日、介入を否定したが、政権統制下のロシアメディアが同氏の中傷報道を展開しているのは確かだ。「同性愛者か」「米国のスパイ」「産業界の利益代表者」――。英語やフランス語でも報じる。

 ロシア政府筋は「仏大統領選の行方はロシアにとって死活的な問題」という。ウクライナへの軍事侵攻により、ロシアは欧米の制裁を受ける。特に親EUを掲げて対ロ強硬の継続を訴えるマクロン氏の当選阻止に動いていると見られている。

 プーチン大統領は3月、マクロン氏の対抗馬、極右・国民戦線(FN)のルペン党首とクレムリンで会談した。ルペン氏は会談後、「プーチン氏は主権国家と新しいビジョン、そして新たな世界の代表だ」と語った。

 ルペン氏らポピュリズム(大衆迎合主義)指導者には反EU・反移民以外の共通項がある。プーチン氏を称賛し、対ロ制裁解除を主張していることだ。プーチン氏を「優れた指導者」と持ち上げたトランプ米大統領の選挙戦とも重なる。

 ロシアはこうした勢力と関係を深める。与党・統一ロシアはオーストリアとイタリアの極右政党、自由党と北部同盟と相次ぎ協力協定を結んだ。9月に議会選を控える「ドイツのための選択肢」の党首も2月に訪ロした。

 資金支援の疑いもある。インターファクス通信はプーチン氏とルペン氏の会談直後に「クレムリンがロシアの銀行によるルペン氏支援を表明」と報道。その数分後に慌てて記事を訂正した。ロシアのある銀行は14年、FNに900万ユーロ(約10億円)融資している。

体制維持に躍起

 欧米のポピュリストを取り込み、工作活動を展開するロシアの狙いは何か。「ロシアが求めているのはPost-West World Order(欧米主導の世界の後の秩序)だ」。2月のミュンヘン安全保障会議でのロシアのラブロフ外相の発言に、欧米の政府幹部らは危機感を強めた。「これは宣戦布告に近い」と欧州のある国の元首脳は指摘する。

 独裁体制を固めるプーチン氏にとって、欧米が主導してきた自由や民主主義の理念は脅威にほかならない。ロシアでは3月、腐敗に抗議するデモが広がり、国民の間でくすぶる不満を浮き彫りにした。欧米を敵視する言動の裏では体制維持に躍起になる姿も透ける。

 ロシアでは、トランプ政権や欧州ポピュリズムの台頭は欧米を弱体化させる好機と捉え、帝政ロシアがナポレオンを撃退した1812年と重ね、こんな声もあがる。「200年ぶりの大勝利は近い」

(モスクワ=古川英治)



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