真相深層 日本、木材大国への道 成長戦略に「循環利用」、供給増で世界一安い 2014/07/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「真相深層 日本、木材大国への道 成長戦略に「循環利用」、供給増で世界一安い」です。





 政府の成長戦略の「日本再興戦略」改訂版では、目玉政策の陰に埋もれながらも「豊富な森林資源の循環利用」が打ち出された。戦後の植林材が伐採期を迎え、国産材の供給圧力が高まっている。外国材が中国の買いなどで値上がりし、国産材が世界一安くなる追い風も吹いている。木材業界は相次ぎ国産材の大型工場を建設。“眠れる資源”の活用に動き始めた。

すてきナイスは約15億円かけ徳島製材工場を建設(徳島県小松島市)

 徳島県松茂町の徳島阿波おどり空港から車で南へ1時間。小松島港近くに来るとヒノキの香りが漂ってきた。窓の外には巨大な倉庫のような工場があり奥に丸太がうずたかく積まれていた。すてきナイスグループが約15億円かけて建設したナイスグループ徳島製材工場(徳島県小松島市)だ。5月半ばに操業を始め今年度は柱やハリなど2万5200立方メートル(丸太換算)の生産を見込む。

 ナイスの鈴木淳常務執行役員は「当社は住宅資材の卸中心だったが製造分野に進出した。徳島には社有林もあり植林も行っている。循環型林業を目指したい」と話す。

 中国木材(広島県呉市)は宮崎県日向市に約40億円を投じ製材工場を建設中だ。8月に試験運転を始め1年で20万立方メートル生産する。同社は米国産丸太の製材最大手だが今後は国産材を強化する。

 合板でもホクヨープライウッド(東京・文京)などグループ4社が岩手県北上市に工場を建設する。投資額は約68億円で来年2月に稼働の予定だ。ノダも来年初めの稼働を目指し静岡県富士市に約55億円を投じ工場を建設している。行政の補助金を活用し国産材を使う点で共通する。

■半世紀で2.6倍に

 今なぜ国産材なのか。戦後の植林材が伐採期に入り森林蓄積量(2012年)は49億立方メートルと半世紀で2.6倍に急増した。政府は木材自給率(13年は28.6%)を20年に50%にする目標だ。成長戦略の具体策でも板材を直交するように張り合わせたパネルなどの普及を促した。

 価格面での魅力も高まっている。中国の買い付けや円安・ドル高で外国産丸太価格が上昇し国産に割安感が強まっている。農林水産統計によると、製材用の6月の全国価格は米ツガ丸太で1立方メートル2万5100円だ。国産の杉丸太は1万4000円と44%安い。市場では国産材は「世界一安い」といわれている。

 外国材はロシア産や東南アジア産で輸出規制が強まるなど供給不安が起きやすい難点もある。

 ただ、価格が安すぎると弊害も出てくる。森林所有者で組織する全国森林組合連合会の肱黒直次代表理事専務は「丸太価格が上昇しないと間伐、林道整備など造林コストが賄えない」と訴える。売る側と買う側の双方が納得する価格形成への取り組みも欠かせない。

 今後の課題は需要の開拓だ。日本は人口減で住宅着工の減少が確実視されているだけに、需要を創出しないと製品がさばけない。合板業界は輸入品のシェアが高いコンクリート型枠用やフローリング台板用の販売を強化し始めた。しかし、輸入品の牙城を切り崩すには時間がかかる。

 需要創出で最大のカギを握るのが輸出だ。すでに丸太輸出は昨年、前年比2.3倍の26万4700立方メートルと過去最高に達した。しかし、産業育成や雇用確保の観点から製材品の輸出をどう増やすかがポイントになる。

■韓国で住宅販売

 すてきナイスグループは昨年末から韓国で日本の伝統工法で建てる木造住宅の販売を開始し4棟を契約した。住宅に使う製材品を日本から輸出する。アジアを中心に住宅を拡販し製材品輸出につなげる考え。合板でもホクヨープライウッドなどの新工場が輸出を視野に入れている。

 中国木材も「やがて来る国産製材品の輸出時代はコスト競争力の差が勝敗を決める。世界と競争していく覚悟が必要」(堀川保幸社長)という。

 日本は国土の7割弱が森林。競争力を強化できれば、資源小国の日本が木材資源大国に生まれ変わる日も夢ではない。(編集委員 浜部貴司)

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