真相深層 米国防長官、対中国「もう寛容ではない」 政策 転換を予告 南シナ海、軍艦派遣加速へ 2017/2/8 本日の日本経済 新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「真相深層 米国防長官、対中国「もう寛容ではない」 政策転換を予告 南シナ海、軍艦派遣加速へ」です。





 トランプ米政権の閣僚として先週末、最初に来日したマティス国防長官。日本側との会談で「明王朝」の中国の行動様式にも触れ、強い対中不信感を示していたことが明らかになった。オバマ前政権の対中政策を見直し、厳しい対応に転じるとも予告した。

共同記者会見するマティス米国防長官(左)と稲田防衛相(4日、防衛省)

要塞づくり阻む

 3日に来日したマティス氏は安倍晋三首相、稲田朋美防衛相、岸田文雄外相らと相次いで会談し、4日午前に稲田氏と共同会見に臨んだ。

 「対決的な行動を強めている」。東シナ海や南シナ海での中国の行動についてこう指摘したものの、対中批判のトーンはオバマ前政権と大差ないように響いた。

 ところが、伏せられた日本側への発言を探ると、かなり厳しい対中観が浮かび上がる。

 「米国は南シナ海で、これまでのようには寛容な態度はとらない。航行の自由を守るために行動する」

 複数の関係者によると、マティス氏はこう語り、中国による軍事要塞づくりを阻むため、オバマ前政権よりも積極的な行動に出ていく考えを明言した。

 具体的には、中国が設けた人工島の12カイリ(約22キロメートル)以内に米軍艦船を派遣し、揺さぶりをかける「航行の自由」作戦を、これまでより頻繁に実行する構えだ。

 この作戦は、オバマ前政権が2015年10月に着手した。当初、3カ月に2回のペースで続けるとしていたが、結局、計4回しか実施せず、南シナ海の軍事要塞化に歯止めをかけられなかった。

 マティス氏は南シナ海での軍事訓練を拡大することなども想定しているとみられる。

 もっとも、これだけなら大きな驚きはない。マティス氏は就任前から南シナ海問題などについて、中国に厳しい認識を示していたからだ。

王朝復活を警戒

 注目に値するのは日本滞在中、マティス氏が「明王朝」の時代にさかのぼって対中観を披露し、中国への疑念を明かしたことだ。こんな趣旨の発言をしたという。

 いまの中国は明王朝の冊封体制を復活させようとしているかのようだ。周辺をすべて自分の勢力圏にするつもりかもしれない。だが、現代の世界では、そんなことは絶対に通用しない――。

 「冊封体制」とは、中国を中心とし、その周りを朝貢国(衛星国)が囲む枠組みのことだ。「中国は強大だった14~17世紀の明王朝の時代などに、この体制を築いた」(日本の中国専門家)。中国はいま、軍事力と経済力を使い、これと同じことをやろうとしているというわけだ。

 マティス氏の認識はかなり厳しいといえる。東・南シナ海での強硬な振る舞いだけでなく、経済力や軍事力を使い、自前の勢力圏を広げようという中国の対外戦略そのものが問題だ、といっているに等しいからだ。

 この発想に立てば、海洋などで中国に国際ルールを守らせるだけでなく、アジア太平洋で中国が影響力を拡大すること自体を阻止しなければならない、という路線につながる。

 マティス氏は約7千冊の蔵書を持つ超インテリであり、中国の歴史への造詣が、根深い対中警戒論につながっているようだ。

 似たような見方は以前から米国防総省内にあった。超長期戦略をになう同省の部局ではブッシュ・ジュニア政権当時、「明王朝の行動パターンを研究することで、台頭し、自己主張を強める中国への対抗策を組み立てようとしたことがある」(当時の同省幹部)。

 では、マティス氏の対中観はどれくらい、トランプ政権全体の政策に反映されるのか。内情に詳しい米外交専門家は「政権首脳は対中タカ派ばかり」というが、通商と安保問題で米中が取引するのではないかとの観測も消えない。

 トランプ大統領と安倍首相の10日の首脳会談で、その手がかりが垣間見えるだろう。

(コメンテーター 秋田浩之)



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