真相深層 英語圏に「スパイ倶楽部」 盗聴疑惑、欧州などの批判の矛先 米、機密情報の扱いに苦慮 2013/11/30 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「真相深層 英語圏に「スパイ倶楽部」 盗聴疑惑、欧州などの批判の矛先 米、機密情報の扱いに苦慮」です。

アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、この5か国によるスパイ協定「ファイブ・アイズ」、つまり秘密結社が1946年から存在しているそうです。





 欧州や中南米、アジアが米国の情報監視活動を公然と批判し始めた。ドイツのメルケル首相への盗聴疑惑をきっかけに独連邦議会は米国への追及を開始。インドネシアやマレーシアなども米国とオーストラリアの盗聴に不信感を募らす。第2次世界大戦後、米英を中心に構築してきた情報独占体制が崩れる可能性さえある。

相次ぎ協定迫る

 「今後は盗聴しないと約束する」。10月23日の電話会談でメルケル首相にこう伝えたオバマ米大統領。インテリジェンス(情報)関係者の世界では波紋が広がった。

 外交の世界では「常識」ともされる情報監視や盗聴活動。相手に対して今後は盗聴しないとトップが公約するのは異例な対応だからだ。

 米国家安全保障局(NSA)の情報監視活動が次々と明らかになるなか、欧州各国は水面下で米国に要求を突き付け始めた。ドイツは相互にスパイ活動を禁止する協定を結ぶよう要請。各国首脳らへの盗聴疑惑が広がった10月下旬にはフランスやイタリアが同様の協定を米国に迫った。オバマ大統領による盗聴中止の公約は、米国が欧州との協議に応じざるを得ない状況に追い込まれたことを映す。

 スパイ活動の禁止協定を迫る欧州各国の念頭にあるのは、アングロサクソン系で英語圏の5カ国で構成する「秘密倶楽部(クラブ)」の存在だ。

 米英を中心とする5カ国は事実上のスパイ協定を締結している。大半の機密情報を共有したうえで、互いに盗聴活動やスパイ活動をしないことを申し合わせている。この協定の歴史は古い。第2次大戦中に米英がドイツや日本の通信傍受と暗号解読で協力したのがきっかけだ。1946年3月に米英が情報協定として締結。その後の東西冷戦をふまえ、カナダとオーストラリア、ニュージーランドに拡大した。5カ国はその存在さえ認めていなかったが、2010年の英国の情報公開で明らかになった。

5カ国が一体

 5カ国のスパイ協定の枠組みは通称「ファイブ・アイズ」。わずか7ページの協定文書は各国の情報機関が(1)通信記録の収集(2)入手した通信文書(3)暗号解読――などを例外なしに共有することを明記。情報収集の手段や技術でも協力をうたっており、5カ国の情報機関が一体となって情報収集活動を展開してきたことをうかがわせる。

 米国の情報監視・盗聴活動の実態が次々と明るみに出るなか、このファイブ・アイズの存在も垣間見えてきた。

 米中央情報局(CIA)のスノーデン元職員が米国のみならず、英国や豪州による盗聴活動の実態を暴露できた謎も解ける。スノーデン元職員がアクセスできたのはNSAの機密情報だが、そこにはファイブ・アイズの機密情報も入っていたと考えられる。インドネシアなど東南アジア各国の豪大使館が盗聴の拠点とされたのも、この枠組みを通じた米豪の連携とされる。5カ国がそれぞれ地域を分担して情報収集を進めた可能性も浮かんでいる。

 欧州や中南米、アジアはこれまで5カ国による情報収集活動の「蚊帳の外」に置かれていた。独仏伊が米国にスパイ協定を要求するのは、独占されている機密情報の入手を狙っているからだ。

 一連の盗聴疑惑をきっかけに米国はファイブ・アイズの枠組みを修正するのだろうか。「同盟国や友好国との間での情報収集活動がどうあるべきか、緊密に協議をしているところだ」。10月末の記者会見で、米国務省のハーフ副報道官は言葉を濁した。

 情報収集活動の枠組みを広げれば、当然ながら共有情報の秘密性は低くなる。それでなくてもNSAの情報収集活動が暴露されて以降、米国のインテリジェンス関係者の活動は大きく制限されている。「テロの危険性が高くなっている」と指摘されるなか、米国が国際社会の批判をどうかわすかが注目される。

(ワシントン=中山真)



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