真相深層 都心マンション「高値」の花 新築販売24 年ぶり低水準 在庫増でも値引きせず 2017/2/4 本日の日本経済新 聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「真相深層 都心マンション「高値」の花 新築販売24年ぶり低水準 在庫増でも値引きせず」です。





 新築マンションの販売が振るわない。2016年の首都圏の供給戸数は24年ぶりの低水準を記録した。売れ行きを示す契約率も低調だ。販売価格の高止まりで消費者は購入に二の足を踏むが、不動産各社は低金利を背景に強気の販売姿勢を崩さない。需要は割安な中古に流れ、16年の中古の契約戸数は初めて新築を上回った。都心の新築マンションは「高値」の花になりつつある。

 「都心のマンションはもう高くて。あきらめたよ」。川崎市に暮らす60代の男性会社員はこぼす。還暦を過ぎ、体力も落ちたことから交通の便が良い東京23区への住み替えを検討した。ところが、これだと思った物件は「5千万円超ばかり」。予算に合うものは見つからなかった。

 不動産経済研究所(東京・新宿)によると、16年の首都圏のマンション平均価格は5490万円。15年と比べて0.5%下落したが、3年連続で5千万円台の大台を記録した。直近3年以前に5千万円を超えた最後の年は1992年。バブル期以来の水準が続く。

 「東京23区の3.3平方メートルあたりの単価は330万円。一般世帯が購入可能な単価を4割弱上回った」。みずほ証券の石沢卓志上級研究員は指摘する。70平方メートルの家族向け物件で7千万円になる。実質賃金が伸び悩むなか、簡単には手を出せない水準となった。

 高騰した直接の要因は建設現場における人手不足で工事費が上がったことだ。アベノミクスによる不動産市況の好転で13年ごろから工事費が上昇。販売価格も上がった。

低金利で一変

 「低金利の今がチャンス」「月々のローン返済額はいまお住まいの家賃よりも安くなります」。販売最前線の誘い文句とは裏腹に、価格上昇が購入意欲をしぼませる。

 16年の首都圏マンション販売で好不調の境目とされる契約率70%を超えた月は4回だけ。10~15年は各年で9~12回あった。低調はあきらかだ。

 不動産各社が頭を悩ませているかと思いきや、そんな様子はない。

 「利益を削ってまで売る必要はない」。野村不動産の中井加明三会長はこう話す。かつて同社は建設工事中に全戸を売り切るのが基本だったが、そのこだわりは捨てた。

 借入金の金利負担を抑えるために、多少の値引きをして早めの完売を急ぐのがこれまでのマンション事業の常識。それが低金利で環境は一変、資金面の余裕が生まれた。

 その変化は数字に表れている。不動産経済研究所によると、16年末の首都圏のマンション在庫数は7160戸と15年末比729戸増えた。市況低迷を意味する6千戸程度を上回るが、慌てる様子はみられない。

 「見学客の2割が契約する。『歩留まり』は15年度の2倍近くになった」。大京は中古マンションの販売仲介だけではなく、購入・改装して再び販売する事業に力を入れる。15年4月に売り始めた東京都品川区の物件の人気に自信を深める。

中古販売が逆転

 高値にしびれを切らした消費者は割安な中古マンションに目を向ける。

 東日本不動産流通機構(東京・千代田)によると、16年の首都圏の中古マンションの成約戸数は15年比6.9%増の3万7189戸。同12.5%減と落ち込んだ新築の総契約戸数(不動産経済研究所調べ)を上回った。比較可能な1996年以降で初めて逆転した。

 けん引したのは東京23区の動向だ。16年の中古の成約戸数は15年比11.1%と2桁増となった。

 もっとも、その中古も値上がりが続く。東京カンテイ(東京・品川)によると、16年の東京23区の物件価格は5249万円と15年比で10.6%も上昇した。高値が中古の需要拡大にブレーキをかける可能性もある。

 手が届きにくくなる都心のマンション。今後はどうなるか。

 「こんな高値で札を入れるのか」。住友不動産の青木斗益取締役は、土地売買の入札結果に驚くこともしばしばだ。「新築向けに適した土地はなかなか見つからない」。業界関係者は口をそろえる。都心の開発が進み、マンション用地は奪い合いになりつつある。

 空前の低金利で住宅ローンは過去最低の水準が続く。住宅購入の好機のはずだが、消費者が歯がゆく感じる状況はしばらく続きそうだ。

(岩本圭剛)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です