眠りの通説 根拠に「?」 8時間睡眠で健康・90分の倍数で・肌には10時~2時… 2014/07/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「眠りの通説 根拠に「?」 8時間睡眠で健康・90分の倍数で・肌には10時~2時…」です。

ざっとまとめてみると、次のとおりだそうです。

睡眠時間は8時間がよい
個人差が大きいので数字にこだわらない方がよい
4時間睡眠でも仮眠などの工夫をすれば足りる
仮眠の硬化は一時的。全身疾患のリスクが上昇する
肌のゴールデンタイムは午後10時から午前2時
成長ホルモンの分泌は時刻とは関係ない
90分の倍数で起きればすっきりする
眠りの周期は同じ人でも日によってまちまち
長く寝る分には問題ない
床にいる時間が長いと、眠りの質が落ちる例もある
子供の頃よく寝れば身長が伸びる
子供の身長は親の身長に関係する例が多い
春先は眠気が取れない
日照時間が伸びてくるのでむしろ眠気は減る
昼ご飯を食べると眠くなる
食事より体内時計との関係が疑われる





 「睡眠時間は8時間がよい」「90分の倍数で起きればすっきりする」「4時間睡眠でも工夫すれば足りる」。睡眠に関する様々な言説を信じている人もいるかもしれない。これらはどれだけ科学的根拠があるのか。最近の科学研究の結果から、根拠が薄弱なケースも多いことが分かってきた。知識をもとに何が正しいかを見極めることが大切だ。

 子供の頃、親や学校の先生などに「1日8時間は寝ましょう」と言われた経験のある人も多いだろう。しかし「8時間に十分な科学的根拠はない」と国立精神・神経医療研究センターの三島和夫部長は指摘する。

 米国で実施された実験がある。多くの人を集めて睡眠時間を通常より短くすると、日を重ねるごとに作業ミスが増えた。例えば、4時間睡眠を2週間続けると極端に作業効率が落ちた。

週末の時間に着目

 専門家の間では「適切な睡眠時間は個人差や年齢差があり、一律に8時間と決められない」というのが共通認識。日本の成人の睡眠時間は6時間以上8時間未満が多く、通常は年を重ねるごとに時間が短くなる。

 個人の適切な睡眠時間について三島部長は「週末に眠る時間がどれほど長くなったかに着目するとよい」と助言する。平日、寝不足気味だと週末の睡眠時間は長くなる傾向がある。週末も平日とほぼ同じ時間で収まっていれば、寝不足ではないと考えてよいという。

 「寝だめ」の効果も限定的だ。北里大学の田中克俊教授は「睡眠が必要にならないと深く眠れない」と話す。ただ平日の睡眠不足を、週末に長く寝ることで解消する効果は期待できる。日光を浴びないと生体のリズムを作る体内時計がずれやすくなる。「土曜日はゆっくり寝ても、日曜は朝8~9時ごろに起きて日光を浴びるのがよい」(田中教授)

 一方、仕事や勉学に打ち込むため、睡眠時間を削って対処したいと考える人も多いはずだ。入社3年目の20代のA子さんは仕事の幅を広げようと資格の勉強を始めた。勉強時間の捻出には睡眠時間を削るのが手っ取り早いと考え、寝具や食べ物を工夫。日中には適度に仮眠を取る方法で、夜中の寝る時間を4時間にとどめようと試みた。しかし、昼間に強い眠気に襲われ、長続きしなかったという。

 三島部長は「睡眠時間を削ってうまくいったという根拠ある報告はない」と話す。短時間の仮眠は一時的に眠気を取るのに役立つ。短い昼寝で頭がスッキリするというのはその一例だ。ただ1日を通じて作業効率の低下を防げるかどうか。4時間睡眠は誰にも当てはまる方法ではなさそうだ。また「睡眠不足が続くと体の負担になる。強い眠気に襲われるだけでなく高血圧や糖尿病、うつ病などになりやすくなる」(三島部長)。

 「肌のゴールデンタイム」はどうだろうか。午後10時~午前2時の間に寝ていないと、体の傷を修復する成長ホルモンが出にくくなり肌が荒れるという考え方だ。成長ホルモンは眠りはじめの2~3時間の深い眠りのときに多く出るが、「時間帯と成長ホルモン分泌を結びつけるべきではない」と内山真日本大学主任教授は指摘する。成長ホルモンが肌荒れを癒やすというのも根拠が薄いという。

 「寝る子は育つ」という言葉もある。これについても「丈夫に育つという意味で、成長ホルモンの作用で身長が高くなるという意味ではない」(内山主任教授)。

 睡眠時は「レム」と「ノンレム」と呼ぶ状態が交互にやってくるというのを聞いたことがあるだろう。レムの眠りは浅く、ノンレムでは熟睡している。周期は約90分で、レム睡眠のときの方がすっきり起きられるとの考えに基づき「睡眠時間は90分の倍数がよい」といわれるようになった。

「1日持つかは別」

 しかし、これも肯定するだけの科学的根拠はないという。内山主任教授によると眠りの周期は平均100分で、同じ人でも日によって微妙にずれる。また起きる時刻に近づけば自然と眠りが浅くなり、いつ起きても寝起きのよさはあまり変わらない。すっきり起きるのはよいことだが「その状態が1日中続くかは別」(内山主任教授)。睡眠の絶対量が足りないと、結局どこかで集中力が落ちる。

 眠りに関する様々な情報が飛び交っており、一見科学的だが根拠が不十分な言説や商品も多い。見極めが重要だ。厚生労働省は今春、11年ぶりに睡眠指針を改め最新の科学的知見を盛り込んだ。一度目を通してみてもよいだろう。(岩井淳哉)

《本》◆眠りについて詳しく知るには 「8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識」(川端裕人、三島和夫著、日経BP社)《インターネット》◆厚生労働省が今年3月に改定 「健康づくりのための睡眠指針2014」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042749.html)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です