砂上の安心網 2030年不都合な未来(4) 政治に「老高若低」 の呪縛 痛み伴う改革及び腰 2016/12/22 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「砂上の安心網 2030年不都合な未来(4) 政治に「老高若低」の呪縛 痛み伴う改革及び腰」です。





 「人生100年時代の社会保障へ」――。10月26日、小泉進次郎氏ら若手議員約20人でつくる自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」はこう題した提言をまとめた。年金の支給開始年齢のさらなる引き上げなどを打ち出した。

■批判浴びた過去

 めざすのは高齢者偏重から全世代型の社会保障、とりわけ「自助を最大限に支援する制度」への変革だ。「痛みが伴う改革から逃げてはならない」と訴えるのも、財政難を背景に「ないものはない」(小泉氏)と考えるからだ。

小泉進次郎氏(中)ら若手議員は高齢者偏重の社会保障に異を唱える

 若手議員らしく中長期的な視点で改革姿勢を鮮明にしたが、党内で注目度は低い。当面の政策に反映されないからだ。「言いっ放しの提言」と冷ややかな視線も漂う。

 12月15日の自民党本部。厚生労働部会に怒号が響いた。「こんな見直しバカじゃないか」「すべて厚労予算の削減でやるのは難しい」。患者負担上限を定めた「高額療養費制度」の高齢者の一部を対象とした見直しは了承されたが、厚労族は怒りをぶちまけた。

 与党議員には苦い記憶が頭をよぎる。小泉純一郎内閣が06年に社会保障費の伸びを5年間抑える方針を決定。「高齢者いじめ」と批判され、09年に政権から転落する要因になったとみる。衆院解散風におびえ有権者が嫌がる負担増には及び腰だ。

 選挙の投票率は年齢が上がるほど高くなる傾向があり、政治は「老高若低」に傾く。安倍晋三首相も高い内閣支持率を使って抜本的な改革に切り込む姿勢は見えない。

 動きの鈍い政治を横目に、人口減にあえぐ自治体の危機感は強い。

 島根県雲南市の速水雄一市長は市内全域に「地域自主組織」を整えた。「社会保障のさらなる充実は難しい。安心・安全は自分たちで守るしかない」。社会保障費が市の財政を圧迫するなか、市の委託を受け、各組織は高齢者の見回りを兼ねた水道メーターのチェックなどの事業を担う。

 現在は計30の組織に市が補助金を出しているが「今後は自分たちで稼いでもらわないといけない」。レストランやスーパーを独自に運営する組織まで現れた。

■「公助もう限界」

 「町はさびれ、各世帯は孤立し、独居老人はたくさんいた。他人の世話になりたくないという人たちも集まれる家庭的な介護の場をつくれないかと」。高知県中芸広域連合保健福祉課の広末ゆか課長らは13年前に田野町に「なかよし交流館」をつくった。今では独居老人らのたまり場になっている。

 認知症や身体に障害をかかえた人も肩を寄せ合う。食事や入浴といった実費だけで手軽に利用でき、ボランティアの職員を募るなどして運営費を抑える。国の介護保険制度にできるだけ頼らないようにした同様の施設は県内42カ所にまで広がった。広末氏は話す。「公助はもう限界に来ている」



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