私見卓見 東京発展のグランドデザインをライフネット生命保険会 長 出口治明 2017/6/22 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済教室面にある「私見卓見 東京発展のグランドデザインをライフネット生命保険会長 出口治明」です。





 「おもてなし」はいらない――。英国出身のアナリスト、デービッド・アトキンソン氏は自著「新・観光立国論」の中でこんな趣旨のことを書いた。僕はこの主張に同調している。

 インバウンド(訪日客)が盛り上がる日本ではいま、おもてなしをすることこそが日本の、そして首都東京の観光政策につながっていると言い立てられている。でも、ちょっと待ってほしい。そもそも日本には豊かなアセット(資産)がたくさんある。まずは四季。そして、おいしい食事や快適な買い物、温泉や豊かな自然もある。日本にこれ以上どんなアセットが必要だというのだろうか。

 首都がある関東平野には4千万人も集積している。僕はこれまで1200以上の都市を訪ね歩いてきたが、これだけ広大な平野に大都会を築いたケースは海外でもあまりみられない。人が集まればサービス産業もおのずと盛り上がる。東京は地形的にも恵まれている。

 にもかかわらず、東京がアジアでナンバーワンの金融・経済都市ではないということが問題だ。シンガポールは富裕層向けの住居を設けたり優秀な教育機関を誘致したりと、世界中から人を呼び込む知恵を絞り、いまの地位を築き上げた。そうした事実を真摯に受け止める必要がある。

 東京に今後どのようにして人を呼び込めばいいのか。街づくりでグランドデザインを描ける人と、リーダーシップを発揮し、実現しようとする人が必要だ。

 街づくりで優れた都市といえば主要7カ国(G7)ではまずパリだ。19世紀の大改造計画で当時の知事らが描いたグランドデザインが今も生き続けている。ルーブル宮殿からシャンゼリゼ通りにつながる街並みは不変だ。その後に大統領を務めたド・ゴールやポンピドゥー、ミッテランがこのグランドデザインを受け継ぎ、街づくりを進めた。

 こうした強い意志を持つ人物が日本にも必要だ。再開発が盛んないまが好機のはずで、この街をどう発展させたいのかといった視点が求められている。

 アセットが豊かだからこそ「入り口」でつまずいてはならない。空港を24時間利用できるようにしたり他国に比べ割高な特急料金を値下げしたりすることで訪日客はさらに増えるだろう。諸外国の都市の方が利便性で優れているのであれば、それをまねて改善すればいいだけのことだ。

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