米、最強空母で中国けん制 ベトナム寄港戦争終結後初経済面での譲 歩狙う 2018/3/6 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「米、最強空母で中国けん制 ベトナム寄港戦争終結後初経済面での譲歩狙う」です。





 【ダナン(ベトナム中部)=小谷洋司、ワシントン=永沢毅】世界最強とされる米国の原子力空母カール・ビンソンが5日、ベトナム中部ダナンに寄港した。1975年のベトナム戦争終結後、米空母がベトナムに立ち寄るのは初めて。米越の関係強化を示し、海洋進出を強引に進める中国をけん制する狙いがある。中国も海軍力の強化を急いでおり、アジア太平洋での米中の勢力争いが激しくなるのは必至だ。

5日、ダナンに寄港するカール・ビンソン

 5日午前、ダナン湾に巨大な船体が現れた。甲板には艦載機がずらり並ぶ。40年以上ぶりに来る米空母を見ようと、湾を見下ろす高台にはスマートフォン(スマホ)を持つ市民が集まった。

 ダナンにはベトナム戦争中、米軍最大の基地が置かれ、両国は激しい戦火を交えた。スマホを構える市民の姿はわだかまりを感じさせない。「かつて敵対国だった両国は親密なパートナーになった」。声明でダニエル・クリテンブリンク駐越米大使は強調した。

 9日までの寄港中、文化交流などの行事が開かれる。米メディアによると、乗組員の一部はベトナム戦争中に米軍がまいた枯れ葉剤の犠牲者の追悼施設も訪れる。国防総省関係者は「負の遺産を乗り越え、安全保障面での協力レベルを大幅に引き上げる」と話す。

 米国がベトナムと安保協力を強めるのは、アジアで軍事力や経済力をテコに影響力を増す中国をけん制するためにほかならない。中国は近年、ベトナムやフィリピンなどと領有権を争う南シナ海で強引に人工島を造成し、勢力圏を広げる。

 これに対し、米国防総省は1月、中国をロシアとともに国際秩序を揺るがす「現状変更勢力」と位置づけた。その直後にマティス国防長官が訪越し、空母寄港の地ならしをした。2月にはカール・ビンソンをフィリピンのマニラに寄港させた。

 米国海軍の強さを象徴するカール・ビンソンは70機以上もの艦載機を収容し、強力な打撃力を持つ。中国初の空母「遼寧」では全く太刀打ちできない戦力で、これまでにベトナムに寄港した米艦船に比べ示威効果ははるかに大きい。

 ただ、今回は中越などが領有権を争う西沙(パラセル)諸島や南沙(スプラトリー)諸島に近いカムラン湾への寄港は避けた。中国を刺激する効果が強いカムラン湾への寄港は外交カードとして残し、中国の対応を見極める判断とみられる。

 トランプ政権は貿易不均衡の是正を求めるなど中国に安全保障、経済両面で厳しい態度で臨んでいる。ワシントンの日米外交筋は「政権はベトナムなどへの関与をカードに、中国からより良い経済面での協力を勝ちとろうとしている」とみる。

 南シナ海問題で中国に強く反発してきたベトナムにとって米国のアジアへの関与拡大は渡りに船だ。昨年ロシアから購入した潜水艦6隻をカムラン湾に配備したが、単独では中国にかなわない。

 このため、米国や日本との防衛協力の強化に踏み込んで、中国に対する立場を強める戦略を打ち出している。昨年5月には海難救助などの名目で、日本のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」をカムラン湾に受け入れた。



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