米、貿易政策にリスク ゼーリック前世銀総裁に聞く ルー ルより自国品シェア 2017/6/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「米、貿易政策にリスク ゼーリック前世銀総裁に聞く ルールより自国品シェア」です。





 トランプ米政権の誕生から5カ月。型破りな米大統領は国際秩序にどんな影響を及ぼすのか。外交・経済政策に精通するロバート・ゼーリック前世界銀行総裁に聞いた。

 ――トランプ大統領の誕生で世界はどう動くのでしょうか。

 「多くの不確実性をもたらした。トランプ氏は、組織で動くというより取引重視だ。米国が主導してきた安全保障のための同盟や国際経済システムという秩序に対し疑問を持っている。彼は米国は大きな負担をしすぎていると考えている」

 「国際秩序の担い手が中国や他の国に代わるというよりは、米国が退いて世界が無秩序に陥るリスクが大きい」

 「安全保障は、すでに軍事同盟、防衛・安保協力などがしっかりしているので、トランプ氏がそれに挑戦しようとすることは少ないだろう。リスクは経済分野にある。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉がその試金石になる」

 ――貿易政策をどうみますか。

 「トランプ氏やロス商務長官は2国間の貿易赤字を企業決算の赤字、損失と同じものととらえている。経済学者の多くはこういう見方はしない。貿易赤字に対処するために、貿易ルールより(米国製品の)市場シェアに焦点をあてることになりそうだ」

 「国家安全保障を理由に鉄鋼産業を守ろうという考えも心配だ。こうなると、日本は食の安全を理由に米国からの農産物の輸入の制限に動くかもしれない」

 ――日本にはどんな役割を期待しますか。

 「日本が米国以外の11カ国で環太平洋経済連携協定(TPP)を守ろうとしているのは期待がもてる。日本のためだけでなく、アジア地域に建設的な役割を果たすことになる」

 「安倍晋三首相が早い段階でトランプ大統領と個人的な関係を結んだのは賢明だ。日本の対米投資が雇用を創出していることを示し、貿易・投資はウイン・ウイン関係であることを強調した。麻生太郎副総理とペンス副大統領の日米経済対話も立ち上げたが、今後の運営を注視したい」

 ――日米FTAに期待する声もあります。

 「真の自由貿易協定になるならよいが、(かつての日米半導体協定のように)赤字削減のための市場シェア協定になるなら機能しないだろう」

 ――中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)をどうみますか。

 「AIIBは国際システムに貢献し得る。米国は資金を拠出して参加しなくても世銀など既存の国際機関を通じて協力できる。(中国の経済圏構想の)『一帯一路』はビジョンの段階で実務的なステップはこれからだ」

 ――米国は異例の金融政策の出口に動いています。

 「過去10年の金融政策は大きな実験で、大きな不確実性を招いた。超低金利が消費や投資を促すのか、将来不安のためにかえって貯蓄を増やしてしまうのか」

 「異例の政策が経済活動をゆがめ、意図せざる効果をもたらさないかについて注意が要る。金融政策は時間を買うだけで、生産性の問題は解決できない」

(聞き手は

編集委員 藤井彰夫)

 ロバート・ゼーリック氏(Robert Zoellick) ブッシュ(子)政権で米通商代表部(USTR)代表、国務副長官を歴任。世界銀行総裁を経て、現在はアライアンス・バーンスタイン会長。レーガン政権でベーカー財務長官の側近として1985年のドル高是正のプラザ合意に関わった。63歳。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です