米利上げ 年2回有力 米「カーライル」創業者に聞く リスク下でも投資 2016/06/08 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「米利上げ 年2回有力 米「カーライル」創業者に聞く リスク下でも投資」です。





 今月下旬の英国による欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票や、11月の米大統領選など重要な政治イベントが相次ぐ。米金融政策の先行きもいまだに見えてこない。こうした不確実な状況のなかで、有力な投資家はどう動くのか。世界最大級の投資ファンド、米カーライル・グループ創業者のデイビッド・ルーベンシュタイン氏(66)に聞いた。

英のEU離脱、想定せず

 ――米大統領選の行方をどう見ますか。

 「民主党のヒラリー・クリントン氏と、共和党のドナルド・トランプ氏という不支持率が極めて高い候補者同士で争われる大統領選は過去に例がない。クリントン氏は新鮮さに乏しいと、大胆な変化を求める国民の受けが悪い。トランプ氏は政策をよく理解していないと不安視されている」

 「ヒラリー優勢とみる米国民は多いが、最後にどちらが勝つか誰も自信が持てない。最近、100社を超える米有力企業の経営者が集まる会合に出たが、ワシントン政治の行方が読めず、当面は設備投資を手控えたいとのムードだった。政治リスクは否定しないが、長期投資を前提にするカーライルは今後も積極的に企業買収を手がけていくつもりだ」

 ――英国の国民投票も間近に迫っています。

 「EU離脱を巡る6月23日の国民投票で、英国はEUの残留を決めるだろう。残留と離脱をてんびんにかけた場合に、残留によって得られるメリットの方がはるかに大きいからだ。もし英国がEU離脱を決めたら問題だが、こうした(不測の)事態は想定していない」

 ――米利上げはいつごろになるでしょうか。

 「米連邦準備理事会(FRB)はそう遠くない時期に追加利上げをするはずだ。利上げの可能性はかなり織り込まれており、実際に利上げがあっても世界の金融市場が大きく荒れたりはしないだろう。その後も米経済の巡航速度の成長が確認できれば、米大統領選後の今年末に再び利上げをするシナリオが有力だ」

米経済、先進国で最も好調

 ――世界経済の成長鈍化が問題になっています。有望な投資先はありますか。

 「やはり米国だ。経済成長率は1~1.5%程度と満足のいく水準ではないが、それでも先進国では最も好調といえる。起業家精神にあふれる企業も多く、高い投資収益を見込みやすい」

 「米国以外では中国が魅力だ。景気は鈍化しているが、まだ年率6~6.5%の成長が見込める。約14億人の人口を抱える巨大な消費市場があり、良い商品やサービスがあればその恩恵を享受できる。中国の銀行(の不良債権)など懸念もあるが、同国政府には問題に対応する能力がある」

マイナス金利、成功しない

 ――日本についてはどうみていますか。

 「日本企業が対象の1200億円規模の新ファンドを昨年立ち上げた。日本拠点の縮小に動く外資も少なくないが、我々は日本での投資に前向きだ。安倍政権には外資ファンドへの理解もある」

 「日本の大企業は数多くの子会社を抱える。こうした非中核事業が外部に売却される際にファンドが受け皿となり、海外展開など新たな成長につなげられる。人口減の続く日本は成長余地が限られる。企業の収益力を高めたり、起業家がより活躍できたりする環境づくりが欠かせない」

 ――日銀のマイナス金利政策への評価は。

 「マイナス金利が成功したと胸を張って言える国は(日本や欧州も含めて)どこにもないのではないか。米国では懐疑的な見方も多く、FRBがマイナス金利に踏み込むことはないだろう」

 ――世界経済で最大のリスクは何でしょうか。

 「世界中で政府が借金を積み上げている。金利上昇局面に入れば政府の利払い負担への懸念が広がりかねない。新興国企業のドル建て債務も空前の規模に達しており、新興国の通貨安で債務返済が滞るリスクにも注意したい」(聞き手は川上穣)

 David Rubenstein 1970年デューク大卒、73年シカゴ大ロースクール修了。弁護士経験を経て、77年から米カーター政権で国内政策担当の大統領副補佐官を務める。87年に共同でカーライル・グループを創業した。本拠はワシントンで米政財界に幅広い人脈を持つ。米金融界を代表する一人。70年代から毎年日本を訪れる知日家としても知られる。慈善活動にも熱心で、財産の半分以上を寄付することを表明している。 カーライルの運用資産は約1780億ドル(約20兆円)。日本ではこれまでおやつカンパニーや日立機材などに投資している。



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