米同盟国から支持 南シナ海人工島12カイリ内航行 比「力の均衡歓迎」 韓国は評価言及避ける 2015/10/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「米同盟国から支持 南シナ海人工島12カイリ内航行 比「力の均衡歓迎」 韓国は評価言及避ける」です。





 【マニラ=佐竹実】中国が人工島を造成した南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺を米海軍の駆逐艦が27日に航行したことを受け、アジアの同盟国からは支持する声が広がった。領有権問題を抱えるフィリピンのアキノ大統領は、米国の関与拡大を歓迎する考えを表明。一方で、中国との距離感を図り評価を避ける国もあった。南シナ海問題は、今後相次ぐ首脳級の国際会議でもテーマになりそうだ。(1面参照)

 「力の均衡は、誰しもが歓迎することだ」。フィリピンのアキノ大統領は27日の記者会見で、米駆逐艦が南沙諸島の人工島の12カイリ(約22キロ)以内を航行したことについての評価を問われ、こう答えた。

 今回駆逐艦が航行したミスチーフ礁などは、フィリピン西部パラワン島から約200キロの位置にある。中国はここ数年で埋め立てを急速に進めており、軍事力に乏しい比は日米などとの連携強化に頼らざるを得ない。アキノ大統領は「航行の自由など国際的ルールに基づくものであれば(米国の活動は)問題ない」として、中国けん制の動きに期待感を示した。

 米国の同盟国であるオーストラリアのペイン国防相は27日に発表した声明で、米国の活動が「国際法にのっとったものだ」と評価した。南シナ海は世界の貿易の要衝でもある。ペイン氏は「豪州の輸出品の60%が南シナ海を通過する」と指摘し、同海域の平和と安定のために「米国や他のパートナー国と密接な協力を続ける」と述べた。

 軍事力を背景とした中国の海洋進出を懸念する国々は今回の米海軍の行動を支持する。一方で、経済的つながりの強い中国を過度に刺激することへの配慮も垣間見えた。

 韓国外務省の報道官は27日の記者会見で、駆逐艦の航行について、「そのような(内容の)報道があったのは知っているが、事実関係を把握中だ」として直接的な評価を避け、「南シナ海は重要な海上交通であり、航行の自由の保障などが重要だという点を一貫して表明してきた」と従来の立場を述べるにとどめた。

 中国と領有権を争うベトナムやマレーシア政府も、公式の見解を表明していない。南沙諸島で最大の太平島を実効支配している台湾の国防部(国防省)高官は27日、「状況は把握している」と説明。突発的な衝突に対しての行動計画をすでに準備しているという。

 今回の米国の艦船派遣は、中国の領有権主張を認めない米国の立場を鮮明にした。ただ、中国はこれに反発しており、同海域での偶発的衝突の懸念や緊張が高まった面もある。11月にマニラで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)など、年末にかけて国際会議が相次ぐ。南シナ海の領有権問題に各国がどう対応するかが大きなテーマになりそうだ。

Q&A 世界貿易の3割占める 南シナ海、なぜ日米が重視?

 Q なぜ南シナ海で領有権争いが起きているのか。

 A 第2次世界大戦が終わるまでは南沙諸島は日本の占領地だった。戦後のサンフランシスコ講和条約で日本は領有権を放棄したが、どの国に帰属するのか明確にならなかった。その後、1970年代に海底油田が見つかるなど豊富な天然資源が眠っていることが明らかになり、中国だけでなく、ベトナムやフィリピン、マレーシアなど周辺国が領有権を主張する事態に発展した。

 Q 日米両国が自国から離れた南シナ海を重視している背景は。

 A 中東の石油などの貿易品を太平洋側まで運ぶために重要なシーレーン(海上交通路)が通っているからだ。世界の貿易量の3割以上を占めるとされる。人工島を作り出して周辺海域を領海とする手法を認めてしまえば、南シナ海以外の領有権争いでも中国の影響力が広がりかねない。

 このため米ハーバード大のジョセフ・ナイ特別功労教授は27日、都内で開いた講演で「中国が軍事的行動に出れば、米国との関係悪化など大きな代償を払うことを示す必要がある」と指摘。さらに「埋め立てによる岩礁は国際海洋法上、領土と見なされないことを示すことが重要だ」と述べた。

 Q 中国が南シナ海を自国のものと主張する根拠は何か。

 A 大戦後の47年に当時の中華民国は南シナ海に11本の線を引いた海域を「11段線」と名付けて、領海を主張した。その後、当時は良好な関係にあったベトナムに配慮して同国北部近辺の海域で2本減らした。牛の舌のように見えるU字型の「9段線」を引いた地図を根拠に中国は自国領と主張している。

 ただ領土から12カイリを領海と定めた国連海洋法条約には中国自身も批准しており、自らの主張と食い違っている。



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